第一志望の合格発表があったのは、受験当日の二日後だった。家にいると合格したかどうかばかり気にしてしまうので学校で時間をつぶし、帰って割と冷静にホームページに番号を入力すると、「合格おめでとうございます」の文字が目にとびこんだ。
　なぜ合格できたのだろう。昨年の受験体験記に載っていた合格者の受験生活とは程遠い三年間だったはずだ。
　まず、受かる上で一番大事だとされる「第一志望に絶対受かりたいという強い気持ち」があったのかは今でも不明だ。もちろん受かりたいと思っていたし、合格発表までに何度も合格を願った。しかし強弱の基準は人によって違う。だからこれが強い気持ちかどうかは判断できない。
　ただ、ほとんどの受験生は意識せずとも受かりたい気持ちを持っていると思う。たとえそれが強くなくても、みんなに自慢したいからというような理由でも、持ち続けることに意味がある。簡単にあきらめられなくなる。
　また、「悔いなくやり切った」とも言い難い。私は決して一人で何時間も勉強できる生徒でも、自分の事は全て自分でできる子どもでもなかった。どれだけ問題を起こしても見放さなかった家族には感謝だ。
　後悔なんていくらでもある。初めから苦手な科目に時間をかけていれば…。初めから早寝早起きを習慣づけていれば…。もっとテキストの内容を消化できていれば…。
　しかし、最難関と呼ばれる中学校でさえ、完璧な受験生活を求めてはいない。完璧な受験生活を送る努力を求めている。成績が落ちた時、もうだめだと力尽きるのか、改善しようとするのかが合否に影響する可能性があるかもしれない。成績に限らず全てにおいて。
　結局、合格の秘訣なんて分からない。授業に楽しく参加すればなんとかなると思う。