自学自習を体現する「本数検」
学年を超えた競い合いが
学習意欲を高める
校長 木村 友彦 先生
広野貴校は、上級生と下級生とのつながりが強く、クラブ活動だけでなく、特徴的な授業もありますね。
木村はい。たとえば数学では、中2が中1に教える「合同授業」を定期考査前などに年3〜4回実施しています。問題の解き方だけでなく、勉強方法やクラブ活動との両立についても相談でき、中1にとっては学校生活を知る良い機会になります。一方、中2は本校での1年間の経験を生かし、後輩にアドバイスすることで、先輩としての自覚が芽生えます。最初の合同授業は5月の定期考査前に行いますが、「○○先生はこんな問題を出すよ」などとアドバイスをしています。基本的には1グループ4人に分かれ、時期に応じたテーマで話し合い、本校の学習ノウハウを先輩から後輩へと受け継いでいます。また、昨年は高3が中1に数学を教える取り組みも行いました。単発的な試みでしたが、今後も続けるかを数学科で検討しています。
広野そうやって一緒に過ごすことによって、情報が伝わる場になっているのですね。
木村クラブ活動以外でも上級生と下級生がつながり、さまざまな面で刺激を与え合っていると感じています。
広野「本数検」(本郷数学基礎学力検定試験)という独自の取り組みもありますね。
木村これは数学科の教員が作成した問題に取り組み、得点に応じて「級・段」が認定されるものです。成績優秀者や学力が伸びた者は全校生徒の前で表彰され、副賞も授与されます。長期休暇明けに実施されるため、休暇中に自分で目標を設定して準備することで、教育方針の一つである「自学自習」を実践する機会にもなっています。「先輩や後輩に負けたくない」「もっと上をめざしたい」という気持ちも学習へのモチベーションになります。また、記述式問題に対する苦手意識の克服にもつながっています。
広野学年の枠を超えて、名前が発表されるのも刺激になりますね。低学年なのに級が上の生徒もいたりして。
木村そうですね。ただし、本数検だけが評価軸ではありません。運動で力を発揮する生徒もいます。それぞれの力を多角的に評価できることが本校の魅力の一つです。
難関大進学セミナーで
卒業生と深める絆
年齢の近い先輩の助言が
受験の力になる
広野在校生と卒業生との交流も多いのでしょうか。
木村「OB講演会」「難関大進学セミナー」といったプログラムや、修学旅行、クラブ活動などさまざまな場面で卒業生が後輩をサポートしています。水曜日の6時限のロングホームルームを活用した「OB講演会」では、その学年に合ったテーマを設定し、先輩を招きます。たとえば、中1には大学1・2年生のOBが6年間の学校生活や行事などの思い出を語り、これからの生活をイメージする機会にしています。文系・理系の選択を控えた高1は、さまざまな道に進んだ先輩から、進路決定のきっかけや体験談を聞きます。4月には「難関大進学セミナー」も開催し、東京大学、一橋大学、早稲田大学、慶應義塾大学などの難関大学に進学したOBが、合格までの道のりや大学生活について伝えます。OBには「苦しかったこと、つらかったことをどのように克服したかを語ってほしい」と伝えています。志望大学や学部別に教室を分けて、座談会形式でじっくり話しを聞く時間もあります。年齢の近い先輩のことばは生徒にも響きやすく、モチベーションの向上につながっています。また、参加した後輩が「次は自分が後輩に伝えたい」と思うことも少なくありません。
広野修学旅行ではどのようにOBがかかわるのですか。
木村中3の秋に実施される京都・奈良への修学旅行では、京都大学など現地の難関大学に進学したOBを宿舎に招いて講演会を行っています。地方大学を選んだ卒業生の話を聞く貴重な機会となっていて、一人暮らしの苦労話などを通して親への感謝や自分の環境を見つめ直す生徒もいます。クラブ活動でも、卒業生が外部指導員として後輩の指導に当たってくれています。
難関大学に通うOBが母校に戻り、在校生に勉強法や大学生活のアドバイスを行う「難関大進学セミナー」
OBが講座を務めるサマーセミナーで
専門的な学びに触れ、刺激を受ける
サピックス
教育事業本部 本部長
広野 雅明
広野最近、新たに始めた取り組みや、内容を広げているプログラムはありますか。
木村夏休みに「サマーセミナー」を行っているのですが、教養講座は大学の先生や大学院生のOBが担当し、大学で研究している最新の内容や、大学生活について伝えてもらえる貴重な機会となっています。サマーセミナーは自由選択制ですが、教養講座は中1・2が中心で、教科講習は中3以上となっています。数学と言語学との関連を研究する大学院生や、歴史学の博士課程に進んだ卒業生などが担当する、専門分野を生かした講座も増えています。高3向けには数学の「ベクトルだけ」、国語の「古典文法だけ」に取り組む講座もあります。
広野受験に関連したプログラムもあるのですか。
木村近年では、東京慈恵会医科大学で研究や臨床実習を行っているOBが、医学部志望者向けに毎年講演を実施しています。受験のノウハウだけではなく、「医療従事者を志すとはどういうことか」を熱心に語ってくれます。研究や大学生活についての質問も多く寄せられ、OBだからこそ伝えられることの大きさを感じます。
広野「進路情報」という媒体もありますね。
木村以前は紙媒体で発行していましたが、現在はデジタルで情報を提供しています。公認会計士として活躍するOBが高校・大学時代を振り返りながら、現在の仕事について語った記事なども掲載しています。
広野それでは最後に、受験生や保護者の方に向けてメッセージをお願いします。
木村本校の教員は、「中学受験のプロセスそのものが非常に大切な経験だ」と考えています。一生懸命に取り組んでも成績が伸びず、目標と現在の自分とのギャップに苦しんだ経験は、とても貴重です。やりたいことをめざして勉強を続けた経験は、将来に必ず生きてきます。ぜひ、今勉強しているプロセス自体を大切にして、前へ進んでください。無駄なことは一切ありませんので、日々がんばってほしいと思います。
本郷中学校・高等学校
TEL:03-3917-1456