今年の夏は114講座を開講
知的好奇心を刺激し、
学習意欲を高める
左から、美術科教諭の竹内 美紀子先生、
サピックス卒業生のS.O.さん(高2)
共立女子中学高等学校が多彩な長期休暇講座を実施しているのは、「得意科目をさらに伸ばしたい」「苦手分野を克服したい」「大学入試に向けて実力を高めたい」「新しい分野に挑戦したい」など、生徒一人ひとりの目的に応じて学びを深められるようにするためです。
今年の夏には114講座が開講されました。たとえば物理では、「力学」「波動」といった単元ごとに講座を設けるなど、生徒の理解度や興味に合わせて選択できるように工夫されています。また、主要教科の学習だけではなく、美術や音楽、国際理解など幅広い分野を扱う教養講座も充実しており、生徒たちは毎回、講座を選ぶことを楽しみにしているそうです。
こうした教養講座は、教員が自由な発想で企画しています。「80年代のJ–POPを聴こう!」「少女漫画学」「広告講座」「大人になる前に知っておきたいお金の話」など、教科の枠にとらわれないユニークな講座も数多く開講され、生徒の知的好奇心を刺激しています。
代表的な教養講座の一つが、美術科の竹内美紀子先生による「デッサンを描こう!」です。中2から高2までを対象に、石膏像をモチーフとして鉛筆や木炭でデッサンに取り組む6日間・計12時間の講座で、初心者も安心して参加できるよう、鉛筆の削り方や構図の取り方など、基礎からていねいに指導しています。
「美大をめざす生徒だけではなく、美術に興味はあるけれど何から始めればよいかわからない生徒に、気軽に挑戦できる機会を与えたいと考えて始めました」と、竹内先生は話します。講座ではデッサンの技術を指導するだけではなく、「なぜそのように見えるのか」「対象をどう観察するのか」といった、ものを見る力を育むことも大切にしていると言います。
時間を確保しやすい夏休みだからこそ、6日間連続で取り組める点も大きな特徴です。「今日学んだことを翌日にすぐ試せるので、通常の授業よりも上達が早いと感じます」と竹内先生。最終日には全員の作品を並べて講評会を行い、一人ひとりの作品の良さを伝えています。そこには、「完成した作品を見て、自信を持ってもらいたい」という先生の思いが込められています。
講座「デッサンを描こう!」は、春休みや冬休みにも開講されており、毎回欠かさず参加する生徒もいるそうです。美術が好きな仲間と出会い、お互いの作品から刺激を受けられることも、この講座の魅力です。
竹内先生は、長期休暇講座について、「教員が『こんな学びを体験してほしい』という思いを形にできる場です。ふだんの授業では扱わないテーマや、教員それぞれの専門性を生かした学びを提供できるのは、共立女子ならではだと思います」と語ります。竹内先生も新たな講座の構想があるそうで、教員自身も楽しみながらアイデアを出しているからこそ、多彩な講座が次々と生まれています。
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竹内先生が担当する講座「デッサンを描こう!」の様子。受講生一人ひとりにていねいな指導ができるよう、15人以内の少人数制で実施しています
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「模擬国連に挑戦しよう!」は、2~3人で一つの国を担当します。初日にグループで意見をまとめてから、全体会議が2日間行われました
学年の垣根を越えて挑戦できる機会
新しい世界との出合いが
成長につながる
サピックスの卒業生でもある高2のS.O.さんが受講したのは、「模擬国連に挑戦しよう!」です。3日間行われたこの講座では、参加者が各国の大使役を務め、国際会議さながらの議論を繰り広げます。今回は「AIと軍事」をテーマに、担当する国の立場を調べたうえで、討論を重ねました。スイスを担当したS.O.さんは、「国ごとに置かれている状況や考え方が異なるので、事前の調査がとても重要でした」と振り返ります。
講座では、生徒同士が自由に意見交換を行う時間も設けられました。S.O.さんは、「わたしたちが提案した内容が議論の中心になったことがとてもうれしかったです」と笑顔を見せます。一方で、自国だけではなく他国の立場も理解しながら、議論を進める難しさも感じたそうです。「日本ではインターネットを当たり前のように使っていますが、世界にはネット環境が十分ではない国もあります。さまざまな立場から物事を見る大切さを学びました」と話します。
また、会議では異なる学年の生徒と協力する機会もありました。「自分の意見を伝えるだけではなく、相手が話しやすいように声を掛けることも大切だと気づきました。この経験は学校生活でも生かせると思います」とS.O.さん。実践的な活動を通して、コミュニケーション力や協働する力も育まれています。
このほかにも受験対策講座など、長期休暇には多彩な講座が開講されています。S.O.さんは毎年、数学などの学習講座に加え、「おもしろそう」と興味を持った講座にも参加してきました。「先生方がいろいろな体験の場を用意してくださるので、新しいことに挑戦しやすい環境です」と語ります。建築分野への進路を考えているS.O.さんは、「次回は竹内先生のデッサン講座も受けてみたい」と考えているそうです。
最後に竹内先生は、「共立女子では、幅広い教養に触れる機会をとても大切にしています。芸術や文化に親しむことは、人生を豊かにすることにもつながります。講座を通して、生徒たちが新しい世界と出合い、自分の可能性を広げるきっかけになればうれしいですね」と話します。S.O.さんは受験生に向けて、「共立女子は本当にたくさんの人と出会える学校で、わたしは今、とても充実した生活を送っています。受験勉強で大変なときは、中学や高校での楽しい学校生活を思い描くと、がんばる力が湧いてくると思います」とメッセージを送りました。