受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

好奇心と学習意欲を刺激する
充実の教育プログラムで、
将来の夢を「決意」に変える

江戸川学園取手中・高等学校 校長 山本 宏之 先生

先輩の活躍や医師の貴重な話が
学習意欲を高める医科コース

先生写真
校長 山本 宏之 先生

神田 高等部に医科コースが設置されてから30年近くたちますが、着実に医学部進学実績が伸びていますね。2021年度の医学部医学科への合格者は、国公立大学が34名、私立大学が77名となっています。すばらしいですね。

山本 医学部があるのは、国公私立合わせて82大学しかありません。その82大学の入試の配点はもちろん、傾向についても、医科コースの教員は熟知しているので、生徒一人ひとりに合った指導ができていると思います。

山口 学校指定科目である「メディカルサイエンス」とは、どのようなものですか。

山本 医師としての素養を育む本校独自の教育プログラムで、基本的には理科と数学と英語を融合した内容です。医療問題・科学実験・医療統計・科学英語の4分野について、高1から高3までが学年を超えて教え合い、学び合いながら深めていきます。

山口 「アメリカ・メディカル・ツアー」も多くの刺激を受けられるプログラムですね。

山本 アメリカ・メディカル・ツアーは、導入初年度の2019年こそ実施できましたが、この2年間は新型コロナの影響で、残念ながらできていません。本来なら夏休みに、カリフォルニア大学サンディエゴ校でキャンパス見学や、現地の医師・研究員とパネルディスカッションなどを行います。本校の卒業生が現地にいてサポートもしてくれます。

神田 サンディエゴ校はメディカルスクールとして全米でも高い評価を受けている学校ですから、貴重な体験になりますね。

キャプションあり
上/1300名以上を収容できるオーディトリアムの大ホール。入学式や卒業式などの学校行事のほか、各界の著名人による講演会や音楽会などもここで行われます
下/広々とした土のグラウンドのほか、河川敷には第2グラウンドもあります

山口 中等部の医科ジュニアコースではどのようなことを学びますか。

山本 医科ジュニアコースでは、命や人権について考える「いのちの学習会」や、病院見学などを行っています。「いのちの学習会」では医療従事者や研究者の方をお招きして、講義をしていただきます。体験学習が充実しているのが特徴で、さまざまな体験をすることが将来へのモチベーションになっています。

山口 「医科講話」というプログラムもありますね。

山本 高等部では、基本的に本校の近くにある病院の副院長先生にお願いしています。循環器がご専門なので、講話では「人工心肺」や「血圧と脈」といったことをテーマに話していただいています。中等部は、本校卒業生の勤務医が担当してくれています。

神田 実は以前、本誌の記事で、貴校の卒業生の猪俣武範さんにご登場いただいたことがあります。猪俣さんは順天堂大学医学部医学科を卒業後、東京大学病院で臨床研修を修了され、後にハーバード大学の医学部に留学されています。眼科がご専門なので角膜の移植免疫を研究されたということですが、同時にボストンユニバーシティの経営大学院にも通って、MBA(経営学修士)も取得されました。帰国後は、順天堂大学の眼科の准教授になられ、臨床・研究・教育だけではなく、MBAを生かして経営にも携わっていらっしゃるとか。すばらしい卒業生がいらっしゃいますね。

山本 彼は2000年度の卒業生です。中高時代は硬式テニス部に所属していて、毎日テニス漬けだったように記憶しています。県内第2位の成績を得て、関東大会に出場したこともあります。高3の夏までインターハイをめざしてテニスに打ち込んでいて、それで医学部に合格したのですから、勉強と部活動をしっかり両立できたということです。彼は中学から高校に進むとき、医科コースを選ぶかどうか悩んで、結局は東大コースに進みました。担任に相談したら、「高みをめざすなら最難関の東大をめざせばいい。ほかにやりたいことが見つかったとき、東大ならそれもかなう」と言われたそうです。それが大きな転機になったと言っていました。

山口 そうした先輩の存在は後輩を勇気づけ、「自分も続きたい」という気持ちにさせますね。

22年5月 さぴあインタビュー/全国版:
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