さぴあインタビュー/全国版
禅の精神に基づく人間教育と
体験重視の探究学習を柱に
真のグローバルリーダーを養成
世田谷学園中学校・高等学校 校長 山本 慈訓 先生
禅の人間観・社会観を表現する
教育理念「Think&Share」
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹
神田 初めに、学園の沿革と教育理念についてご紹介いただきたいと思います。
山本 本校の母体は、1592(文禄元)年に曹洞宗の吉祥寺というお寺の山内に誕生した、僧を寄宿させて就学させる「旃檀林」です。1902(明治35)年に曹洞宗第一中学林と改称し、私立学校令に準拠する学校となりました。本校はその年を創立年とし、今年で創立123年を迎えました。
教育理念は「Think&Share」です。これはお釈尊さまの「天上天下唯我独尊」ということばを、世界の人々が理解しやすいよう簡潔な英語で表現したものです。「天上天下唯我独尊」というと、傲慢なイメージでとらえられがちですが、「我」とは生きとし生けるすべての存在がそれぞれ持っている「私」を意味しています。ですから「天上天下唯我独尊」とは、「この世の中で私には私だけが持っているかけがえのない価値がある」「この世の中は人々がお互いに違いを認め合って共存できる社会でなければならない」ということを意味します。
この仏教・禅の人間観を「Think」、社会観・世界観を「Share」と表現しているのです。そこから生まれた学校のモットーが「明日をみつめて、今をひたすらに」、そして「違いを認め合って、思いやりの心を」です。この二つは各教室の黒板の上に掲げられ、生徒はいつもそれを目にし、教職員も常にそれを意識しながら生徒にかかわっています。
神田 世界三大宗教のなかでも、仏教は非常に国際性を持っています。世界中に信徒がいて、Apple創業者の一人で、同社のCEOを務めた故スティーブ・ジョブズも禅に傾倒していたそうですね。国も民族も違うなかで、同じ価値観、生き方を学んできた方々が、国際的な場でさまざまに活躍しています。貴校も将来グローバルリーダーとして活躍できる人を育てるという目標を掲げています。そのためにめざす人間像が「智慧の人」「慈悲の人」「勇気の人」ということですね。
山本 「智慧の人」とは自立心にあふれ知性を高めていく人、「慈悲の人」とは喜びを多くの人と分かち合える人、「勇気の人」とは地球的視野に立って積極的に行動する人です。この三つの人間像を合わせると、「みずからの智慧と足でたくましく人生を歩み続け、多くの人たちと共により良い未来を創造していく人」ということになります。
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