受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

禅の精神に基づく人間教育と
体験重視の探究学習を柱に
真のグローバルリーダーを養成

世田谷学園中学校・高等学校 校長 山本 慈訓 先生

小説を書いて文学賞にチャレンジ
学会さながらの研究発表も

聞き手1
サピックス小学部
教務本部
岡本 茂雄

神田 さまざまな内容がある「土曜プログラム」ですが、理数コースの「世田谷サイエンスプロジェクト」(SSP)とは具体的にどのような内容ですか。

山本 生徒が自由研究を行い、ゼミ形式で発表するプログラムです。中1・2の段階では日常的なものをテーマとします。たとえば、「洗濯物はどんなときによく乾くのか」などです。結論はもう想像がつきますよね。風が強い日、湿度が低い日など。でもその結論に導くために、同じTシャツを毎日同じ時間に洗濯して干す、ということを繰り返してデータをとります。発表して質問を受け、答えられなかった場合にはさらに調べたり実験をしたりします。そうしたことを年間14コマを割いて続けていると、物事に深く興味・関心を持つようになります。理数コースの生徒も、たとえば社会科の授業も興味を持って受けるようになります。理数コースだから理科と数学だけできればいいという人になってほしくはありません。豊かな教養の上に科学的思考力を培い、想像力と創造力にあふれる人を育てていきたいと思っています。

岡本 本科コースの「土曜プログラム」にも多彩な講座が用意されていますが、特徴的なものをご紹介いただけますか。

キャプションあり
上/修道館にはアリーナ、温水プール、武道場などの体育施設を完備。思う存分に部活動に取り組める環境です
下/今年3月にグラウンドの全面人工芝化が完了しました

山本 授業で小説の書き方を学び、自分で作品を書いて「星新一賞」にチャレンジするという講座があります。実際、2021年度は中1生2人がジュニア部門で準グランプリと優秀賞を受賞しました。そういう学びも中3以降の探究的な学びの布石になります。

神田 受賞した作品は先生もお読みになりましたか。

山本 読みました。不老不死の薬を開発するために飼育されているベニクラゲの目線で描いた物語で、ユニークな発想をするなと感心しました。

岡本 「SETA学会」という学内研究発表会もあるそうですね。これはどのようなものですか。

山本 Science,Engineering,Technology,Artsの頭文字をとったSETA学会は、全学年合同で文化部や個人での研究活動を報告し合うイベントです。質疑応答の時間もあり、大学の学会さながらの運営・進行が行われています。「ここは何か尖ったものを持っている生徒が多い。学校もそれを認めてくれる」と、生徒はよく言います。実際、個人で何かを研究していることも少なくありません。古事記の研究をしている生徒や音響の研究をしている生徒もいます。そういう部活動はないので個人でやっているのですが、それができる雰囲気が本校にはあると思います。

 そんな生徒たちの発表の場をつくろうということで始まったのがSETA学会です。中学の部と高校の部に分かれて、毎年1月と2月に開催しています。いろいろな分野の研究発表なので順位づけはしませんが、校長賞と教頭賞を設け、わたしは理系の研究を選び、教頭は文系の研究を選ぶようにしています。SSPの発表もここで行う予定です。

24年5月号 さぴあインタビュー/全国版:
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