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進学校 ▶ 浅野中学校
第一希望をあきらめるとき
A.Sさん ●お子さんの名前 Dくん
この子は変わっているから麻布が向いているかもしれない。麻布中を第一希望に据え、いつか目の色が変わるかもしれないと、いつかいつかと思いながらも、届くか届かないか微妙な位置で過ごしてきました。2回目の麻布の学校別サピックスオープンで最終ジャッジと決めていたのに残念な数値。でも、絶対に無理な位置でもなく、見直せば本当はこのくらいまではいけたのに。だけど、そのもう少しのケアレスミスが直らないのも含めての事実…。決断ができないまま12月。できない記述に時間を取られているうえに、基礎問題もおろそかになっていることが判明し、このまま麻布に時間を取られている場合ではない。麻布はあきらめよう。重く遅い決断でした。
しかし、本人にはまったくあきらめるという選択肢がなかったので、どう納得させるのかが最重要課題となりました。担当の先生からは、塾のためではなく、親の気持ちを考えたうえで、本人のために必要なことを第一に考え、常に納得のいくアドバイスを頂きました。本人にも、そのときに必要な声を掛けてくださっていたようでした。暗い顔で帰ってきたので、何か怒られたのかな?と思ったら、「なんて自分は愚かだったんだろう」と言って、泣いたときもありました。自分がやっていたことが今の結果を生んだのだという自覚が少しずつ生まれ、それを受け入れることを彼なりにしていけたのだと思います。自分の生きがいのように感じていた、大好きだった麻布コースを冬期講習直前に離れました。
それでも、しばらくの間は未練があったと思います。「麻布コースに戻るために」と最初は思っていたかもしれません。いずれにしても、この決断が結果的には麻布しか見えていなかった世界から、視野を広げ、基礎力を上げていくことを可能にしたようにも思います。親としても、麻布をめざそうとさんざん言っておきながら、いきなりその目標を奪うというのは、とてつもなく残酷であることはわかっており、「これは子どもの受験だから、挑戦もさせてあげないで終わるのは可哀想ではないか」という思いや罪悪感も当然ありました。この時期がいちばんつらく、親子で泣いたこともありました。このときの思いは一生忘れないでしょう。
それでも、麻布がすべてではないこと、ゴールはここではないこと、必要な経験と場所がきっと与えられるから、それを信じて、とにかくやるだけのことはやろうという思いで、結果的にはすばらしい星を手に入れたように思っています。思いどおりにならなくても、「あのときがあったから、今がある」と言える日が来れば、どのような結果も決断も成功になるのだと思っています。
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