受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2023年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 麻布中学校

サピックス、いいかも

Y.Oさん お子さんの名前 Kくん

 「サピックス、いいかも」
 3年生の入室テストを終えて出てきた息子の、開口一番のことばでした。テストだけで何が?と思いつつ、わが家のサピックス生活が始まりました。当初はサピックスの授業が楽しくて通っている状態でしたが、勉強習慣をこの時期に身につけたことは、新型コロナ発生後の外出制限時の家庭学習に大きく役立ち、偏差値的にも最難関校を考えられるまでになりました。
 激戦の学校説明会・文化祭見学をいくつかこなした後に、息子が「麻布に行きたい」と言い出したのは5年生の冬でした。麻布中のような環境でもまれることは大歓迎でしたが、「よりによって麻布か…」と危惧したのも事実です。というのは、当時の息子は国語の偏差値がほかの科目よりかなり低い「酷語」男子で、思考力系の問題も苦手にしており、「算国国国の入試」とも表現される、麻布の試験問題に対応できるとは思えなかったからです。そして、その懸念は6年生の9月に顕在化しました。
 取り組みが解禁された過去問の算数の点数はたったの4点。1回目の学校別サピックスオープンの社会は偏差値30台。国語の記述は空欄ばかり。得意の理科も、普通の理科との違いに対応できず。それでも麻布志望の変わらない息子を横目に、私たち両親は半分パニックになって、麻布撤退を前提に校舎の先生に相談しました。返ってきたのは、とても力強いおことばでした。
 「4年生から息子さんを見ているが、こつこつと努力して積み上げた基礎がある。SS特訓は始まったばかりで、解く力がつくのはこれから。国語もSS特訓単科講座の内容には自信があり、しっかりついていけば十分に間に合う。だから、志望校を変える必要はまったくない」
 先生のことばを頼りに親も腹をくくり、プランBとしての志望校変更を準備しつつも成長を見守ることにしました。
 そこから、明確なきっかけや特別な出来事があったわけではありません。ただ、SS特訓・土曜志望校別特訓・平常授業のすべてで手を抜かず、あきらめずに必死に食らいつき、徐々に麻布の問題に対応できるようになりました。課題だった国語も記述を中心に点数が取れるようになり、酷語男子の面影はなくなりました。それでも併願校を含む過去問の点数はなかなか伸びませんでしたが、年末ごろにはなんとかなりそうな気配を感じ始めました。
 入試期間中は、一つひとつの試験を経るごとに息子がたくましく感じられるようになりました。親の心配をよそに、息子は本番でも平常心で臨み、力を出し切ったように思います。
 受験を終え、家の本棚には使い込まれたサピックスのテキストと、ほとんど使われなかった市販の教材が残されました。親の受験とも評される中学受験ですが、わが家には当てはまりませんでした。息子と、サピックスの先生方と、平常授業・SS特訓の仲間たちとの冒険劇を、私たち両親はいちばん良い席で観劇させてもらったのだと思います。
 最後に息子に感想を尋ねたところ、返ってきたのは次のことばでした。
 「サピックス、本当に楽しかった!」

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