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最新中学入試情報
進学校 ▶ 麻布中学校
「信じる」ということ
Y.Kさん ●お子さんの名前 Kくん
「彼を信じましょう」。6年生の1回目の保護者個別面談で先生に言われたことばです。「信じる」とはどういうことなのか? 正直に言うと、そのときは理解できませんでした。なぜなら、5年生の夏までは楽しく通塾することに専念していて、5年生の後半からは少しずつ家庭学習時間が増えたとはいえ、一日45分程度だったからです。6年生になってからも勉強は一日1時間で、その5倍の時間を娯楽に費やす日々を送る息子の姿。これを毎日、間近で見ていると、息子の何をどのように信じればよいのかわからなったのです。
息子は、自分のことは自分で考え、自分で決めるという性格。家庭学習もほぼ自分で組み立て、自分でやっていたため、好き嫌いや偏りがあり、穴だらけでした。精神的な成長が早く、5年生からは反抗期も始まり、なかなか口も出しづらく、手を差し伸べても、けっしてその手を握り返そうとはしないという状況で、ただ見守るしかありませんでした。
2回目の面談で、先生から厳しいことばがありました。「雑。楽なほうへと逃げようとする」「本当にこれでいいのか? 後悔はしないのか?」と問われ、そのときが親子共に目が覚めた瞬間でした。「もっとできるはず。もっと上を見なければだめ」とも言っていただきました。
それほど努力しなくても、そのときの実力で合格できそうな学校で手を打とうとしていた、息子の考えに気づいてのことばだったように思います。サピックスは大手塾なので、個別のフォローはあまり期待できないという評を耳にしたこともありましたが、実際は、日ごろからしっかりと子どもの性格や学力、癖などを見ていてくださり、適切なタイミングで的確なアドバイスや提案をしていただきました。
その後の息子は、徐々に集中力を高め、土曜志望校別特訓、SS特訓、過去問にしっかりと取り組むようになっていきました。よく練られた教材と、経験と実績豊かな先生方のご指導で、なかなか手を出そうとしなかった難問にも果敢に挑む姿勢が見え始め、最後の1か月は、アスリートと見間違えるほどのラストスパートで走り抜きました。そして、第一志望校をはじめ、受験校すべてに合格という、最高の結果を手にすることができました。
息子の受験を最後まで見届けて、初めてわかったことがあります。それは、春になれば草木が芽吹き、枝葉を天に向かって伸ばすように、子どもにも、自分で自分の道を切り開き、上へと強く伸びていこうとする「力」がある、ということです。「彼を信じましょう」という先生のことばへの答えが、ようやく見つけられました。それは、「子どもの、自分で進もうとする力、伸びようとする力を信じること」だったのだと思います。
うつむきがちだった息子の目線をぐっと上へと向かせてくださったサピックスの先生方に、心から感謝しております。ありがとうございました。
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