受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2023年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 栄光学園中学校

息子のエンジンはいつかかるのか

M.Nさん お子さんの名前 Yくん

 4年生での入室から2年間、受験は遠く感じられ、親はスケジュール管理と丸付けはするものの、志望校と息子の実力との差を縮める努力を先送りしていました。
 その間も先生の助言どおりに取り組もうとはするものの、想定以上に時間がかかり、急かしたり間違いを指摘したりすると息子はふてくされるので、勉強担当をたびたび主人と交代してもらいました。その後、本人が白状したところによると、意欲が薄れて答えを丸写ししたり、私の目を盗んで遊んでいたりしたために、はかどっていなかったとのこと。弟と妹がいることもあって、私はそんな息子の怠惰を見抜けず、幾度となく「受験をあきらめてサピックスをやめよう」と話しましたが、そのたびに息子は激しく抵抗しました。
 息子が受験をあきらめたくなかった理由は二つあるように思います。
 一つはコロナ禍の直前に栄光学園中のオープンスクールに参加でき、環境や雰囲気に魅了され、ゆるぎない目標ができたこと。
 もう一つはサピックスが楽しかったこと。活発に意見し合える授業はもちろん、個人的にも多くのことばを掛けてくださる先生方、授業以外では帰路の短時間を共に過ごすだけなのに、強い連帯感で結ばれた友人たち…サピックスは息子にとってかけがえのない居場所になっていました。
 とはいえ、先送りしてきた志望校と実力との差を縮めるのは容易ではなく、残り時間で縮まるのか確信が持てず、室長先生には用意された回数以上に保護者個別面談や電話相談をお願いしました。
 息子は先生が大好きで、叱られることすら喜んでいたため、家での様子や親の想いを伝えたうえでの先生からの直接の助言が、息子の最大の原動力になっていました。
 そして、自室での勉強をやめさせ、私の目の届くところで勉強させました。
 テキストやテストの結果を確認し、現状の実力把握に努め、残された時間でやるべきことを共に確認しました。
 やりたい勉強を優先してしまうため、やるべき勉強に取り組んでいるかどうか、目を光らせました。
 ただ、あらためて痛感したのは本人の意志がすべてであるということ。
 第一志望校はもちろん、受験校すべてにおいて本人が「行きたい」と思えなければ、過去問を解く熱意(=点数)が異なり、押さえとして受験することすら拒みました。また、急かしても諭しても、本人が本気にならなければ結果は出ませんでした。息子の場合は10月…。目の色が変わったのは1月に入ってからです。絶対に栄光に行きたいのに、まだ実力が達していないと思えたときがスタートでした。ゴールからの逆算は親と子とでは感覚に差があり、本当にひやひやしました。
 今後親としてできるのは、親が勧めたいと思える、本人の興味を刺激する人や物に触れさせること。エンジンがかかれば、子どもはおのずと動きます。中学受験においては、子どもが行きたいと思える学校に出合わせ、サピックスの先生や友人にエンジン着火を協力してもらうということです。
 合格した日から今も、いろいろな思いを込めて「よかったね」と繰り返せる日々は本当に幸せです。これから続く皆さんにも、笑顔の春が訪れますように…。

 前の体験記 | 男子校目次に戻る | 次の体験記 

2023年度中学入試
受験体験記
男子校女子校共学校

ページトップ このページTopへ