「ぼく、受験してよかった」
　息子が受験を終えたとき、自信に満ちあふれた顔で言ったことばです。このとき初めて、受験をしたことが正しかったと思えました。
　新４年生２月に入室した息子は、根が真面目で授業で先生からお話のあったことにはきちんと取り組む素直さがあったため、最初は成績も順調に伸びていきました。その半面、できない問題にぶつかると机に伏せて泣いていることも多々ありました。そんな息子を見るたびに、受験することを息子は望んでいないのではないかと思い、「受験したくないなら、やめてもいいんだよ」と言ってしまうこともありました。
　６年生の夏期講習までの志望校は開成中。６年生前半は開成が射程圏内の成績は取れていました。ところが夏期集中志望校錬成特訓の２日目、帰宅後に「志望校を変えたい」と今までにないほど泣いてしまう状態に。理由は、息子のなかでは得意な算数が開成コースの中だとできなくてつらいということでした。息子の希望どおりに志望校を変えるべきなのか、ずっとあこがれていた学校なのだから前を向かせて、このままがんばらせるべきなのか、母としてとても悩みましたが、息子と何度も話し合った末、ＳＳ特訓から海城中へコースを変更することにしました。海城も大好きな学校だった息子は、今までと変わらず努力を続けていましたが、このころ苦手としていた国語が時間内に解き終わらず、過去問にいたっては延長30分でようやく解き終えることもありました。状況を変えられたらという思いもあり、先生にお電話させていただいたことで国語に転機が訪れたのです。大好きな国語の先生が息子に直接お話をしてくださったことが息子の心に響き、質問教室へ行くようになりました。「国語ができるようになりたい」と言うまでになっていた息子が、質問教室で教えていただいたことを私にうれしそうに説明する姿を、今でも鮮明に思い出します。
　最後のマンスリーテストの国語は過去最低の偏差値でしたが、それでも息子が落ち込まずに自信を持ち続けられたのは、質問教室でいつも先生が優しく温かいことばで励まし続けてくださったおかげです。家ではつらさや悔しさで泣いていることもあった息子が、２月１日、「席に着いたときに不安にならなかった。全力を出し切った」と言い、堂々と真っすぐ前を向いて試験会場から出てこられるまでに成長しました。
　サピックスにお世話になった３年間が息子の人生にとって宝物の時間となりました。
　支えてくださった先生方に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。