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進学校 ▶ 開成中学校
行きたくない!
M.Nさん ●お子さんの名前 Kくん
子どものことは親がいちばんわかっているようで、意外に見えていないものなのかもしれません。つい余計なことを余計なタイミングで声掛けしていたことを思うと、もっと子どものことを信じてあげてもよかったのではないかと、今になって思います。
3年生の終わりからサピックスにはお世話になっていました。「こんな量をどうやってこなせばいいのだろう」と思うほどの教材量でしたが、本人はいい意味で手を抜くことを覚えていきました。新しいことをどんどん教えてくれる、「世界一名前の長い虫の話」のような楽しい脱線もたくさんある、友だちと競い合って問題を解く授業が楽しかったようです。
6年生になると、新しいことを習うというよりも演習中心の授業になり、プリント量も授業時間も驚くほど増えていきます。受験に対して意識が低いのか、まだまだ幼いわが子のモチベーションは簡単に下がっていき、「授業に行きたくない」と、毎回言うようになりました。幸いにも、塾をサボるほどの度胸はなかったようですが。
もしや反抗期の始まり? 夏休みは、「やってみよう」とさんざん言ったにもかかわらず、結局、購入した電話帳のような過去問集には一切手をつけずに、自分の好きな自由研究に没頭していました。9月に入ると、さらに日曜日にSS特訓が始まりますが、これにも「こんなに勉強させて子どもの人権侵害」と言い出す始末。過去問も合間を縫ってやらなくてはいけないのに、「過去問はもう二度と出ないから、やらなくていいんじゃないの」と、つまらない屁理屈をつけてなかなかやりません。
親がイメージする「志望校に向けてがんばる受験生」の姿とあまりに大きくかけ離れていて、正直言って戸惑い、感情に任せて「声掛け」をしてしまっていました。サピックスの保護者会でも「この時期、怒っても何一ついいことはありませんよ」と釘を刺されていたにもかかわらず、です。
今思えば、やりたくないとか、行きたくないと、さんざんネガティブなことばを発していたとしても、結局は最後までやり切ったことに注目すべきでしたし、夜遅くに授業から帰ってきたときに「どうだった?」と聞いて返ってきた「まあまあだった」という返事に、彼なりの充実感や先生方への信頼感を読み取れていたはずです。結局、体感として本人の雰囲気が変わったのは直前の1月、静かに黙々と勉強するようになりました。本番前日、サピックスの先生と電話で話す子どもの姿はとても落ち着いており、長い時間を共にした先生方と子どもの間にしかわからない、特別なつながりを感じました。
子どもと暮らしていても、子どものすぐ隣にいても、意外に見えているものは多くないのかもしれません。中学に入って彼の世界が広がれば、見えてくるものはますます少なくなってくるかもしれません。しかし、今度はそれを成長だと考え、どんな姿を見せてくれるのか楽しみにできたらと思います。
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