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最新中学入試情報
進学校 ▶ 開成中学校
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M.Kさん ●お子さんの名前 Sくん
背の高さをも超えるテキストの山を前に、この文章を書いています。鉛筆で書かれた黒々とした幼く力強い文字や、解読不能な暗号のような絵が、降り積む時を経て、大人にも難しい解法や細やかな日本語の差異を表現できるまでに洗練されていく経過を眺めています。
4年生のうちは、とにかく先生のお話をよく聞いて帰ってきました。ノートには落書きのような絵しか描かれていなくても、夕飯時の授業の振り返りで、先生方の口調まで再現して伝えてくれる様子は、笑いにあふれていました。毎日「基礎力トレーニング」と漢字学習に取り組む習慣をつけることから始まり、次に「白地図トレーニング帳」を埋め尽くし、解読可能なノートを書けるようになり、一歩ずつできることが増えていきました。シールを集めてごほうびの景品を頂いて、目先のテストをクリアしていく楽しさに、うまくはまったのだと思います。
しかし、6年生になると、目先の楽しさだけでは乗り越えられない壁に突き当たります。4・5年生のときに文化祭や学校説明会が開催されず、実際に本人が学校を見て雰囲気を感じる機会が乏しかったため、動画の説明会だけではあこがれの火種が着火するには至らず。志望校を定め切れないまま走り続けるのは、大人の想像よりもずっと困難なことでした。複合的な要因で成績が不安定になり、気をもみながら見守るしかできない時間が続きました。
保護者会で大人と子どもとの時間感覚の違いを解説されました。大人は右肩上がりの成長を期待してしまうが、7月までは大人が想像するような受験生にはならない。夏休みに一瞬、ぐっと受験生らしくなる。でも、9月になると学校が始まり、親ばかり気合が入るけれど過去問はなかなか得点できず、学校行事も忙しいので再び停滞を感じる。冬休みに入ると最後に急成長し、1点の重みや時間の使い方を身につけて、入試当日になんとか合格点を超えるのだ、と説明されました。また、学問に王道はなく、苦手から逃げず、最後まであきらめずに努力を続けるしかないのだ、ともアドバイスされました。
受験が終わって振り返ると、すべてが保護者会で言われたとおりでした。親にできるのは、睡眠時間の確保とおいしいご飯を作ること、夏以降に過去問のコピーを準備することのみでした。
先生方のことばどおり、最後のスイッチが入ったのは冬期講習中でしたし、知識が脳内で網の目のようにつながっていく瞬間を目の当たりにしたのも、1点をもぎ取る気迫を身につけたのも、得点開示のある1月入試の後でした。
6年生の1年間、成績が乱高下する様子を見守るのはしんどいことでした。でも、1月の末日、濃密で凝縮された時の流れの合間に息子が、「やることはなくならないけれど、できることはやり切った。ここまで来たら、緊張もしなくて、なるようになると思えた」と、ふっとつぶやいた瞬間がありました。
そして入試当日、まっすぐに進む息子の背中を見送ったのです。
2023年度中学入試 受験体験記 |
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