「ぼくも大学附属中に入りたい！」
　息子は大学生活の魅力を意気揚々と話す父を見て、自然と思ったようです。そんな息子のために塾を探し、夫も私もサピックスの説明会に出向き、ここだったら、中学受験のためにというより、これから学習する基盤をつくっていくうえで道しるべとなってくれる場だと確信して、入室を息子に勧めました。
　入室してみたものの、新型コロナウイルスの影響での不安のなか、親子共に落ち着いて前向きに学習に取り組む…とはほど遠い状態でした。授業の復習としてテキストを読み返すこと、家庭学習をこなすことなどは、当たり前のことなのでしょうが、息子には、そしてサポートする私にはとても難しいことでした。「息子のために」という思いが空回りして学習効果を上げるどころか、私のきつい言動が息子のストレスとなり、親子関係は悪化するばかり。そんななか、助けてくださったのは、先生方の保護者会でのアドバイスと夫に学習サポートを交替してもらったことです。先生方とのメールや電話のやり取り、家庭学習の内容だけでなく息子自身の精神面に対するアドバイスなど、本当に随所で励ましていただきました。また、夫に学習サポートを交替することで、息子には厳しくも目標に立ち向かうという自覚が生まれ、衝突しながらではありますが、父と息子で少しずつ学習の効果を上げていきました。
　ただ、何事にもマイペースな息子、本当に顔つきが変わり、集中して勉強ができるようになったのは入試直前12月を過ぎたころだったと思います。睡眠時間を十分確保し、休憩も入れながら勉強に取り組むというサイクルには、やらされているからやるのでなく、自分で決めてやっているという姿勢が見られました。
　入試当日、テストを終えた息子は合格への手応えがあったようです。
　さまざまな壁を乗り越えながら送った３年間が、息子に自信を与えてくれたのだと思います。
　今は息子自身が望んだ良い結果を頂き、たいへんうれしい気持ちです。息子を見ているとまだまだ幼さが残り、親としては心配するばかりですが、３年間がんばってきた息子をこれからも信じていきたいと思います。
　最後になりましたが、息子はサピックスに通うのを本当に楽しんでいました。これもサピックスの先生方や受付の皆さま、警備の皆さま、一緒に学んだ友だち、関わってくださったすべての方々のおかげであったと思います。３年間本当にありがとうございました。