サピックスへの入室のきっかけは、小学校の先生のお勧めでした。５年生の夏期講習だけのつもりで通い始めましたが、いつの間にか親子共々どっぷりとサピックス漬けになり、すっかり生活の中心になっていたように感じます。
　授業初日から、とにかく復習することが多過ぎて驚きました。特に理科と社会の知識がなくて定着させるのにかなりの時間を費やしましたが、覚えたそばから忘れ始める始末…。眠くならないように一問一答で答えさせ、正誤はピンポンブザーを使うなどゲーム感覚を取り入れると、息子はのりのりで疲れを忘れて取り組み、気分転換にもなりました。
　６年生になると、土曜志望校別特訓やＳＳ特訓に加えて過去問と、次から次へとタスクが増え、その学習スタイルに慣れるまでがひと苦労でした。息子は寝言でも「わからないよー」と叫んでいたこともあり、心配すると「ぼくは受験勉強が嫌なんじゃなくて、お母さんに『時間が足りない、これじゃだめよ』と言われるのがストレスなんだ」と告げられ、大反省したのと同時に、勉強がつらいのではないことがわかり安心しました。
　実はわが家は、冬期講習が終わった時点でも第一志望を聖光学院中と栄光学園中で決め切れずにいたため、先生方に最後のご相談をすると、「私がRくんのことをまったく知らず、偏差値だけで決めるなら栄光を薦めます。でも、栄光に合格して４日に聖光にも合格している子はたくさんいます」と説得力あるアドバイスを頂いたことで、迷いは吹っ切れました。あとは、今までこつこつと地道に取り組んできた息子を信じるだけと思っていた矢先に、まさかのインフルエンザ感染。息子の熱は38度以上ありましたが、みずからの意志で土曜志望校別特訓とＳＳ特訓をライブ配信で受講しました。これが２週間後だったらと思うと、今でもゾッとします。
　２月２日、栄光坂を上る手前ではなんと息子のジャケットに鳥のフンが落ちてきたり、「算数の試験中に解答用紙を落としてしまったけれど、それが机の脚に寄りかかって立っていたんだよ!! 拾ってくれた先生も『オッ、立ってる!!』と驚いてたよ」などと、私の心配をよそに興奮気味に話す息子を見て、なかなか勝負強い子かもしれない、と感じました。
　１年半の受験生活を通じ、息子の成長を感じながら伴走できたことは、とても有意義でした。それまでは、ほぼ100％受け身の勉強でしたが、いつの間にか自分の気持ちをきちんとことばで伝えられるようになり、勉強にも主体的に取り組むようになりました。そして、案外図太い性格で動じないことに驚きました。また、計画性を持って実を結ぶための努力をすることの大切さを親子共々痛感しました。
　先生方には、幾度となく電話でご相談し、常に息子や親の気持ちに寄り添った的確なアドバイスをして頂けたことに感謝しております。スタッフの皆さまも含め、お世話になり、ありがとうございました。