サピックスを選んだのは、５年生まで土日の授業がなかったからです。大好きな野球をしながら、どうにか受験ができないか、全国大会をめざし、自分と同じような仲間と楽しい中学ライフを過ごせる中学校に行くことはできないか、ということで、サピックスに４年生で入室することに決めました。土日は朝から日が沈むまで野球。平日は素振り。サピックスの復習や「基礎力トレーニング」などは平日のうちに終わらせなければならず、本当に大変な日々でした。それでも、息子は６年生の夏の全国大会まで全力でやり切りました。
　土日が野球なので、学校見学にも行けず、自分が行きたい学校はどこなのかもわからないままでの受験勉強でした。ただ、そのような状況ではありましたが、「学校見学に行けるようになるまでサピックスの授業をしっかり受けて、どのようなことになっても対応できる力をつけられるようにがんばっておこう」と話し合いました。息子は、先生から教えていただいたこと、やってくるように指示されたことに、ただただ真面目に取り組みました。何しろ、息子は個性あふれるサピックスの先生方が大好きでしたので、「ここでこんなことを教えてくれたんだよ。おもしろいでしょ」と授業を楽しんでいました。「もっと時間があれば、この子はもっとできるのだろうに」と思うこともしばしばでしたが、そう思うたびに、野球と両立するためにサピックスを選択したのだと、自分に言い聞かせていました。それでも息子は、受験勉強も野球も目標に向かって一生懸命に取り組みました。それは尊敬に値するものでした。野球チームはとうとう全国大会に進み、息子も全力で闘いました。試合に敗れてからは、受験勉強に全力投球。その集中力はすばらしいものでした。
　志望校は、クラスメートの「武蔵っていいよねー」との話を聞いて、「武蔵を受けたいかなー」となりました。そして、先生とお話をさせていただき、めざしてみると決めました。武蔵中の問題を解いていくと、この学校に行きたいと真剣に思うようになりました。
　算数でなかなか成果が出ず、焦りましたが、「ＳＳ特訓の平面図形の問題を全部やり直してみるとよいですよ」とのアドバイスを頂き、そのように取り組んでみると、正月特訓の後、みるみる点数が上がっていきました。得意の国語も安定してきて、さあ、いけるかと思いましたが、残念な結果となりました。しかし、その後の芝中では見事合格を勝ち取ることができました。本当にすばらしいことです。
　私たち親子はサピックスの先生方のご指導に従い、ただただ真面目に取り組んだだけでした。そして、二刀流をやり遂げられたのです。中学受験のことを何もわからない私たちがここに来られたのは、サピックスのおかげです。本当にありがとうございました。