わが家は共働き家庭のため、両親が不在時の〝習い事〟のような軽い気持ちで新３年生からサピックスに通い始めました。それほど大きな波もなくサピックス生活を送っていましたが、６年生の土曜志望校別特訓が加わったころ、復習をした形跡のないテキストが机の上に放置されていることが増え、成績もガクンと落ちました。一向に改善しない状況に、不毛なバトルが勃発するようにもなり、真っ白なテキストはたまっていく一方で、ほとほと途方に暮れてしまいました。
　そんなとき、サピックスマイページ上の「学習相談アンケート」がふと目に入り、「これって、読んでいただけるのかしら？」と思いつつも記入して提出してみると、すぐにふだん娘をみてくださっている先生からお電話がありました。恐縮しつつも現状の不安をお伝えすると、ていねいに聞いてくださり、最後に「今のままで大丈夫ですから、何も言わずしばらく見守っていてください」という助言をくださいました。振り返れば６年生になってやるべき課題が一気に増えた状況下、娘は自分のペースをつくろうと模索している最中で、そこに私が余計な干渉をしていたのだと気づかされました。
　世間ではサピックスはクールな塾だといわれることもありますが、このときの先生とのやりとりから、サピックスはけっしてクールで、冷たいわけではないと感じました。先生方は子どもたちのことを（そして親のことも）的確に、細やかに、公平に見守ってくださっているからこそ、過度に前のめりになることがないのだと思います。しっかり支えられているということを実感し、先生方と本人に任せていれば大丈夫だと、このとき確信しました。
　思えば、娘は一度もサピックスに行くことを嫌がったことがありませんでした。とにかく先生方の授業が楽しく、また同じ志望校をめざすお友だちとの交流も励みになっていたのだと感じます。入試の前日、入試応援動画を娘と一緒に見ました。娘は前日ということで、それまで多少緊張していたと思うのですが、それぞれの先生方のお人柄が伝わるメッセージに、ゲラゲラ大笑い。うれしそうに繰り返し視聴していました。その様子を見て、本当にサピックスに通ってよかったなと感じました。
　今回、たまたま第一志望校の合格という良い結果に恵まれましたが、たとえ不合格だったとしても、この先生方に出会えたことでサピックスに通った日々にまったく後悔はなかったと思います。中学受験は長い人生の通過点にすぎないとは思いますが、サピックスに通った数年間、信頼できる先生方に恵まれ、娘は成長したと感じます。本当にありがとうございました。サピックス小学部からの卒業は寂しくもありますが、次のステージでも親子ともに努力していきたいと思います。