受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2023年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 東京女学館中学校

2年半を振り返って

C.Sさん お子さんの名前 Cさん

 サピックスの入室テストを申し込んだ4年生の春、緊急事態宣言が発令。ようやく入室を許可されたのは4年生の夏期講習からでした。親子共に初めての中学受験塾。娘は楽しそうに通塾していたものの、授業についていけているのか、家庭学習は十分なのか、親としては確実な手応えを感じられないまま過ごしていました。
 マンスリーテストでは毎回、期待しては落胆するの繰り返しでした。何度、塾も受験もやめることを娘に突きつけたかわかりません。唯一変わらなかったのは、サピックスはやめたくないという娘の意思でした。
 6年生になり、いよいよ土曜志望校別特訓やSS特訓が始まっても、なお、娘には危機感が見られず、成績も一向に変わりませんでした。学校説明会も徐々に開催されるようになり、6月からサピックス主催のものや、各学校が開催するものに積極的に娘と参加しました。勉強を代わることはできない分、学校を訪問する機会を多く与えたいと思い、必死に予約しました。さまざまな女子校に足を運びましたが、どの学校もとても魅力的でした。娘がこの制服を着て、この先輩たちとこの廊下を歩く姿を思い浮かべたときに、笑顔の娘を想像できるかということを、毎回考えていました。娘は、各学校の校舎やすてきな先輩にあこがれを抱きつつも、第一志望校への思いをより一層強くしていきました。
 しかし、第一志望校への思いを糧に絶対合格をめざしてまい進するほど、娘は大人ではありませんでした。まだ12歳。隠れて小説を読んでいたり、余裕で寝ていたり、学校案内をいつまでも眺めていたり。娘が志望する学校だからこそ、その願いをかなえてほしいと思い、親は焦るばかりでした。受験校も直前までサピックスの先生と相談し、出願しました。
 迎えた2月1日。7時前に自宅を出発し、東から昇った朝日に娘と手を合わせ、第一志望校に向かいました。試験室に送り出すとき、私は緊張している娘の肩を抱いて「大丈夫」と言うのが精いっぱいでした。娘は振り返ることなく、しっかりとした足取りで控え室を後にしました。娘が戻るまでの4時間半、私は持参した本も手につかず、いろいろな思いが巡り、時に涙しながら祈り続けていました。午後は別の女子校を受験し、初日の結果次第で翌日の受験校が決まる予定でした。明日の今ごろはどこで祈っているのだろうかと、考えていました。
 3日午前で、娘の受験を終えました。この2日半は、通塾した2年半以上に娘の成長を感じました。精神的に強くなり、各教科に対する神経が研ぎ澄まされ、別人のようでした。
 そんな娘の姿を見られたことが、中学受験に挑戦したご褒美のように感じます。親として、もっと勉強に関わり、もっと優しくできたかもしれませんが、娘は最後に大きく成長し、第一志望校合格という夢を実現してみせてくれました。
 最後まで励ましながら教えてくださったサピックスの先生方や、応援してくれた多くの人の思いを乗せた合格であることを忘れず、これからの人生を切り開いていってほしいと思います。

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