受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2023年度中学受験  サピックス小学部第29期生/親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 浦和明の星女子中学校

中学受験のゴールとは?

A.Yさん お子さんの名前 Nさん

 娘が中学受験を希望したのは、苦しい受験を終え、楽しい中高一貫校生活を過ごす五つ上の兄を見ていたから当然のことであったようだが、私は息子の受験時の大変さを知っているからこそ、娘の受験を迎えるに当たり、最後までやり遂げられるだろうかと不安な思いがあった。
 親の期待が高いほど、子どものすること、なすことが気にかかる。それでは収まらず、口を挟む。すっかり口達者になった娘と妻との口論が絶えない。不安的中、このまま受験当日までたどり着くことができるのか?
 毎日出勤し、夜遅く帰宅するのが当然であった5年前とは状況が変わり、今回は在宅中心の生活のなかで娘の受験に向き合えたわけだが、母親への負担がどれほどのものか、まざまざと目の当たりにした。間近で母娘を見ることができた今回は、息子のときとはまた違った体験ができ、共に受験に挑んだという実感が大きかったように思う。
 父親にできることは限られる。しかも父親は娘に甘い。母娘戦争が勃発すると、逃げ場のない娘(ときには妻)には父親の存在が必要となる。なんとか前に進み、志望校をめざしてやり続けるように先導する。先導といっても、口を出すのは火に油を注ぐようなものと心得ているので、視点を変えて二つ考えた。
 一つは食を通した「コミュニケーション」。食べ物の嗜好が私と一緒である娘のツボは押さえており、模試が終わるたびにごほうびメニューで次の糧とする。行ったお店の数々は今では良い思い出だ。
 そしてもう一つは、私自身の「チャレンジ」だ。いちばん重要なのは、娘が目標に向かってやり遂げる経験を最後まで支え、共にゴールすること。最後までやり遂げる姿を見せたい思いで初のフルマラソンに挑戦し、なんとかゴールすることができた。
 不安のなかにも「ひょっとしたら」と期待させる時期もあり、受験校は、第二志望である1月校の合格を受けて、「攻め」の2月へ。結果はむなしく不合格。これでよかったのだろうか、本当にやり遂げることができたのだろうかと、心残りがないと言えばうそになるが、初めて挑んだ中学受験を通して経験した悔しい思いは何物にも代え難く、これからの人生のなかで必ず生かせるときがくる。そのときこそが、中学受験における本当のゴールとなるのだろう。
 受験後、「私も走ろうかな」と言われたときは、少なからず支えになったのかなと安堵した。それとともに、将来、娘と一緒に走る日が来るのを楽しみに、夢を膨らませる。
 最後まで支えてくださったサピックスの先生方、友人親子、身内の皆さま、本当にありがとうございました。

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