受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2023年度中学受験  サピックス小学部第29期生/受験体験記

進学校 麻布中学校

自由を求めて

K.Hくん

 「残念ですが不合格です」
 1月24日、渋谷幕張中の合格発表で突きつけられた現実だ。理由は明白だ。算数でのミスが重なりすぎたせいだ。
 「うそだろ…サピックスオープンのときは合格可能性80%と表示されていたはずなのだが…」
 受験の厳しさはここにあり。20%だった人が受かる可能性も十分ありながら、80%だった人が落ちる可能性もある。その事実を学べただけに、今となっては良い思い出だともいえる…いや、悪い思い出だ。ぼくは絶望した。自分は未熟だった。馬鹿だった。不遜だった。そのことに今日まで気づけなかった。なんて愚かだったのだ。
 翌日、沈んだ気分のままサピックスに行くと、室長に呼び出された。
 「その悔しさを残りの学校にぶつけてこい!」
 そのことばに励まされ、ぼくの調子はかなり取り戻された。今考えると、本当にありがたいことばだ。
 その後、2月1日と2月2日、無事に麻布中と栄光学園中の入試を終えた。栄光は算数が難しく、麻布では算数で精密な計算が求められる問題が出たので、ケアレスミスが怖かった。そして、2月3日は午後2時に栄光の、3時に麻布の合格発表があった。まず栄光。2時を過ぎてもホームページに受験の合格発表が出ず、まだかまだかと気が立っていた。その瞬間、
 「残念ながら不合格です」
 ということばが脳裏に浮かび、そして、そのことばが非難するかのように心にどんどん詰め寄ってきた。そうしているうちに合格発表のときが来た。祈った。ひたすら祈った。
 「おめでとうございます。合格です」
 その瞬間、12歳の少年の叫びが家の中を伝った。ぼくは解放されたのだ!! 続いて麻布。栄光よりは気楽に合格発表を見ると、受かっていた。筑波大附駒場中には落ちたが、もはやどうでもよかった。最後にいちばん伝えたいことを書く。
 1月校に落ちても、2月は関係ない。

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