２月某日、ぼくは約ひと月ぶりに来た小学校の門前で立ちすくんだ。
　「振替休日だよー」と、見知らぬ親切な人が声を掛けてくれる。大荷物をガチャガチャさせながら自宅に引き返し、さて時間ができたからこの体験記を書いてみよう。
　アドバイスできるような身分じゃないし、役に立たないかもしれないけれど。
　ぼくの人生の門は、開いてくれたから。
　成績を心配していた母には「大丈夫、ぼく麻布に受かる」とずっと答えてきた。
　過去問を見ておもしろい問題だと感じたら、偏差値を理由にしてあきらめずに、挑戦したくなった。ただ振り返ると、サピックスだったから合格できたんだと思う。先生方、温かいご指導本当にありがとうございました。大変だったけれど、楽しかったです。サピックス卒の兄ックスにも算数は助けてもらった。ありがとう（お兄ちゃんの受験体験記では飼い猫への感謝をぼくの名より先に書いてあったよね？）。猫のシフォン、いつも遊んでくれてありがとう。おかげでサボっているときもごまかせたよ。母へ。神社で見かけた虫に合格祈願をしていたらしいけれど、それはたぶん神様じゃないよ。虫だよ。父へ。１月の飲み会を我慢してくれてありがとう。飲み会も仕事のうちだもんね。
　家ではふざけてばかりのぼくだけれど、本当に麻布に行きたかったし、早くゲームがしたかった。いろんな方のおかげでぼくの未来を開いてもらった。
　これからもゲームはもちろんするけれど、勉強の日々も細々と続いていく。それにしても、明日こそ校門、開いてるかな！！