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進学校 ▶ 慶應義塾普通部
親友とつかんだ合格
K.Sくん
2月1日、緊張しながら教室に入り、ぼくは目を疑った。なんと、隣の席にいたのはSS特訓を共に過ごした幼なじみだったのだ。彼もぼくの存在に気づき、驚いた顔をしていた。同時に、少し頰の緊張がゆるんだように感じた。ぼくは静かに席に着いた。SS特訓のプリントを見直しているうちに、試験はあっという間に始まった。
問題はさすがに難しかった。しかし、すぐにあきらめずに簡単な問題から解いていった。過去問でも、国語は最後まで解き切れずに時間切れになることが多かったが、本番は最後の1秒まで問題にくらいつき、なんとか時間内に解き終えた。続く算数は、兄が普通部を受けたときにはSS特訓の授業で扱った問題が多く出たそうだが、今回は出なかった。傾向が少し違っていて、2問ほどわからない問題があったが、とにかく終わった問題は絶対に気にしないと決めていたので、次の社会に備えた。そして、始まる直前に隣に視線を送った。すると、目が合った。2人でうなずき合って、絶対に一緒に合格しようという意思疎通をした。最後の理科の試験が始まる前に、SS特訓で書いたぼくの下手なスケッチを見せると、彼は笑っていた。そして、ぼくたちはリラックスして午前の試験を終えた。試験中に何度か、わからない問題に遭遇したが、「大丈夫、自分にできない問題は皆もできない」と先生が言っていたことばを自分に言い聞かせて解いた。
お昼休み、弁当の中にはぼくが好きなおかずばかり入っていた。家族や先生たちを身近に感じた。この日のために今まで多くのことをしてきてくれたその恩に、合格というかたちで報いたいと、強く思った。
そして、午後のテストが始まった。面接では母のことを「お母さん」と言ってしまい、体育実技でもボールを勢いよく投げ過ぎてしまい、指示どおりの動きができなかった。試験が終了し、いろいろな意味で終わったと思った。
だが次の日、母の携帯の画面を恐る恐る見ると、合格者のところに、ぼくの番号、そして隣にいた親友の番号が確かにあった。ぼくたちは一緒に合格した。
2023年度中学入試 親子で歩んだ 受験の軌跡 |
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