受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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2023年度中学受験  サピックス小学部第29期生/受験体験記

進学校 慶應義塾普通部

親友とつかんだ合格

K.Sくん

 2月1日、緊張しながら教室に入り、ぼくは目を疑った。なんと、隣の席にいたのはSS特訓を共に過ごした幼なじみだったのだ。彼もぼくの存在に気づき、驚いた顔をしていた。同時に、少し頰の緊張がゆるんだように感じた。ぼくは静かに席に着いた。SS特訓のプリントを見直しているうちに、試験はあっという間に始まった。
 問題はさすがに難しかった。しかし、すぐにあきらめずに簡単な問題から解いていった。過去問でも、国語は最後まで解き切れずに時間切れになることが多かったが、本番は最後の1秒まで問題にくらいつき、なんとか時間内に解き終えた。続く算数は、兄が普通部を受けたときにはSS特訓の授業で扱った問題が多く出たそうだが、今回は出なかった。傾向が少し違っていて、2問ほどわからない問題があったが、とにかく終わった問題は絶対に気にしないと決めていたので、次の社会に備えた。そして、始まる直前に隣に視線を送った。すると、目が合った。2人でうなずき合って、絶対に一緒に合格しようという意思疎通をした。最後の理科の試験が始まる前に、SS特訓で書いたぼくの下手なスケッチを見せると、彼は笑っていた。そして、ぼくたちはリラックスして午前の試験を終えた。試験中に何度か、わからない問題に遭遇したが、「大丈夫、自分にできない問題は皆もできない」と先生が言っていたことばを自分に言い聞かせて解いた。
 お昼休み、弁当の中にはぼくが好きなおかずばかり入っていた。家族や先生たちを身近に感じた。この日のために今まで多くのことをしてきてくれたその恩に、合格というかたちで報いたいと、強く思った。
 そして、午後のテストが始まった。面接では母のことを「お母さん」と言ってしまい、体育実技でもボールを勢いよく投げ過ぎてしまい、指示どおりの動きができなかった。試験が終了し、いろいろな意味で終わったと思った。
 だが次の日、母の携帯の画面を恐る恐る見ると、合格者のところに、ぼくの番号、そして隣にいた親友の番号が確かにあった。ぼくたちは一緒に合格した。

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