受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

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2023年度中学受験  サピックス小学部第30期生/受験体験記

進学校 慶應義塾中等部

慶應は二つある

H.Nくん

 慶應普通部の不合格を知った2月2日。慶應中等部に挑まなければならない2月3日。難度はほぼ同レベル。不安が頭をよぎる。挑んだ中等部の一次試験は、誰からも合格するとは思われていなかった。普通部より中等部のほうが倍率が高い。でも、その学校に受かったのだ。これは好きなことが多すぎるぼくの物語だ。
 7月の終わり。ぼくは夏休みがいつもの夏休みでないことに気づき、落ち込んでいた。そんな受験生は多いと思う。そこで、ぼくは計画を立てた。好きなゲームと志望校合格、この二つを両立させるために午前7時まではフリータイムと決め、超早起きをした。夏期集中志望校錬成特訓で志望校に合わせた授業が始まる。とても緊張した。同じ志望校をめざす仲間たちの間で自分の順位を知ることができた。「負けられない」。今まで以上に勉強に励むようになる。
 平常授業に戻る9月。親から「ゲームをしている場合じゃない。緊張感を持って」と言われる。次にぼくは、勉強した時間の3分の1をフリータイムにするという制度を提案した。これなら、大好きなゲームのためにがんばれる。フリータイムを増やすために勉強する。
 冬にかけてぼくは音楽にはまってしまう。初めはテレビのバラエティー番組で流れていた洋楽を聴いていたが、徐々に邦楽にはまる。邦楽は思わず歌ってしまう。すると、親から「邦楽禁止令」が出る。クリスマスにワイヤレスイヤホンをもらう。父が選曲し、ぼくがそれを聴く。勉強に集中するため、洋楽のみ。そうこうするうちに「本番は音楽がない」ので「音楽禁止令」が出る。ただ、ぼくの頭のなかでは常に音楽が流れていた。
 いよいよ本番。普通部ショックから半日。中等部の試験は平常心で解くことができた。ぼくは何かを我慢すると気持ちが沈むタイプ。最後の最後まで、ゲームも音楽も、勉強もやり続けた。わがままなぼくだけれど、ぼくらしく好きなことを好きなだけやった。何かを我慢することも大切だけれど、何かをやり通すことはもっと大切だと、ぼくは思う。

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