２０２０年の冬だった。サピックスの入室テストを受けたのは。当時、何も理解していなかったと思う。サピックスとは何なのか以前に、入室テストとは何かすら知らなかったのだ。ただわけもわからず連れていかれ、取りあえず解答用紙を埋めた。ただ、その後のミニ授業は印象に残っている。カブトムシの蛹に関することだった。
　そのテストのしばらく後、公園で遊んでいたとき、合格を意味するカード・生徒証を受け取った。その後、どんな苦労が待ち受けているのか、つゆ知らず…。
　３年生のときは別の校舎に通っていた。成績は中の上だった。家庭学習をちゃんとやらずに手抜きしていた。そして４年生になり、校舎を移動した。
　４年生のころ、特に受験勉強をしているという意識はなかった。いつものようにだらだらと過ごし、一日を終えていた。
　夏期講習はがんばった記憶がある。少なくとも受験勉強のなかでいちばんがんばっていた。
　５年生のときから危機感を持ち始めた。「このままやっていたらまずい!!」と。それでも…。
　４・５・６年生の説明が短いと思ったかい？
　それぐらい集中していなかったのだ。家庭学習中にぼーっとし、妄想をとめどなくして、非常に効率の悪い状態で、その日のうちに終わらず、休みの日に持ち越しすることもよくあった。そのくせ娯楽に関しては譲れないところがあった。
　そして、とうとう迎えた本番。どうせ…と思っていたら、なぜか合格。うれしくてうれしくて、あごの付け根が痛くなるまで笑い、そして、開成中に落ちた。今思えば当たり前のことだが、むなしい気持ちにさいなまれた。
　こうしてぼくは「やる気スイッチ」を見つけられなかったが、ぜひ諸君には見つけてほしい。健闘を祈る。