受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

最新中学入試情報

2023年度中学受験  サピックス小学部第30期生/受験体験記

進学校 渋谷教育学園幕張中学校

1月22日

M.Sさん

 1時間目開始の合図のチャイムが鳴るのと同時に、解答用紙をめくった。まず名前を素早く書く。最初の科目は国語。なんともシュールな世界観の、自分好みな物語が出され、楽しんで問題を解けた。試験後の休憩時間中は社会の要点をまとめ、足利義満の肖像画を表紙に貼った「義満ノート」や理科の「〆鯖ノート」などを見返していた。
 2時間目、3時間目の試験が終わり、昼食の時間。弁当を食べながら、4時間目の理科はリード文をよく読もうと心に誓った。リード文にヒントが多く隠されていることを過去問で学んだからだ。
 そして4時間目の理科。大問は自分の苦手な分野で、途中まで解き、飛ばした。大問にも手こずってしまい、多くの時間をロスしてしまった。まだ大量の余白があるのに、残り時間は少ない。焦って、リード文をよく読まずに問題を解こうとしてしまった。試験官の先生が「残り5分です。解答用紙に名前を書いたか確認してください」と言うのが聞こえたが、そんなことをしている暇すらなかった。
 試験終了の合図のチャイムが鳴り、鉛筆を置いた。解答用紙が回収されていくのをぼうぜんと眺めていた。落ちたな、と思った。悲しいとかショックとかではなく、心にできた黒い小さなシミがじわじわと広がっていくような感覚があった。自信のあった国語もできなかったのではないかと思った。
 先生の誘導に従い、教室を出て玄関へ向かう間もそのようなことを考えていた。縁がなかったなどと到底思えなかった。二次試験もがんばろう、この学校はきっと自分を受け入れてくれるはずだと、気持ちをなんとか切り替えた。
 校舎を出た。曇っていると思ったけれど、1月22日の海浜幕張の空は、少し肌寒かったが晴れていた。

 前の体験記 | 共学校目次に戻る | 次の体験記 

2023年度中学入試 
親子で歩んだ
受験の軌跡
男子校女子校共学校

ページトップ このページTopへ