私がサピックスに入ったのは新６年生の２月と、ほかの人より少し遅い時期でした。入室初日はテストで、その次の授業から私は悪戦苦闘して授業になんとかついていこうとしました。そのかいがあって、夏期講習のときは上のクラスに上がることができました。しかし、10月ごろからスランプになり、クラスは落ちるし、問題はまったく解けないしで、最悪の日々が続きます。
　そんなとき、助けてくれたのは、友だちでした。同じ下り方面の電車で帰宅する10人ほどの友だちが、「私もスランプだよ。一緒にがんばっていこうね」「今つらくても、きっと合格できるよ」と、次々に声を掛けてくれたおかげで、立ち直れました。
　冬期講習などを経て、いよいよ２月１日。第一志望校なので体が震えるほど緊張していました。試験が終わった後、母に会ったときに思わず笑みがこぼれました。どうしてかわからないけれど、たぶん、長かった志望校対策が終わったからではなかったのでしょうか。
　２日の午後２時。私は父とレストランで固唾をのんでスマートフォンを見守っていました。午前に豊島岡女子中を受けたこともありくたくたでしたが、頭は妙にさえていました。ポチッ。そして現れた文字に、思わず目を大きくせざるを得ないほどの衝撃。そう、私はついにあこがれの桜蔭中に合格できたのです。うれしくてうれしくて、レストランなのに「やったー」と叫んでしまいました。人生で最高の瞬間だったかもしれません。それくらいうれしかったです。
　私は自分を信じることで合格できました。自分はできない、なーんて思っていたら、死んでも合格できません！ どんなスランプになってもクラスが下がっても、自分はできる、と信じる人が合格を勝ち取ります。私は受験を通して、そのことを知り得ました。