さぴあインタビュー/関西情報
合宿などを多く実施して
他者の個性も尊重できる
「世の光」となるリーダーを育成
大阪星光学院中学校・高等学校 校長 田沢 幸夫 神父
キリスト教精神に基づいた
人間教育に力を注ぐ
サピックス小学部
千里中央校校舎責任者
松本 裕隆
松本 初めに、貴校の歴史からお聞かせください。
田沢 本校はサレジオ修道会を母体とするカトリックのミッションスクールです。1950(昭和25)年に正式に学校として発足。当初は中学校のみでしたが、その3年後に高校もできました。サレジオ会は教育活動に力を入れている修道会で、戦後の荒れた日本の社会状況を見て、これを復興させるためには教育が大事ということで本校が創設されたのです。当初の目的の一つはカトリックの教えを広めることでしたが、現在では、生徒たちの人生の指針にしてもらいたいという思いで、キリスト教的な生き方や伝統を伝えています。
そんな本校の校訓は、「世の光であれ」です。これは、聖書のなかに書かれている「あなたがたは世の光である」ということばからとったもので、将来社会に出て、光のように暗いところを照らす人間になってほしいという意味です。本校では「世の光」を次の3段階で説明しています。最初は「ろうそく」の光です。ろうそくには自分やすぐそばの人を照らす力しかありませんが、同時にかけがえのないものという意味があります。次に「電灯」です。周囲を照らし、安心を与えることができます。そして最後が「灯台」です。これは、社会全体を照らすリーダーということ。そういう人に成長してほしいと願っているのです。
聖書には「あなたがたは世の光である」とありますが、これは、どの人のなかにも世の光になる可能性があるという意味だと、わたしは解釈しています。その可能性を見つけて伸ばしたり、磨いたりして、将来、社会のなかで世の光たる人間になってほしいというのが、本校の教育目標です。
この教育目標を実現するための、サレジオ会の教育法が、創立者である聖ヨハネ・ボスコが提唱した「アシステンツァ」です。これは「共にいる」という意味で、「アシストする」に当たるイタリア語です。教育者ができる限り生徒に寄り添い、きめ細かい指導や援助をします。人間というものは、本を読んだり、授業を受けたり、自身で研究したりすれば、知的な面での成長はできます。しかし、人間として成長するには、やはり他人との交流がどうしても必要です。だからこそ本校では、できる限り生徒に寄り添い、人と人との触れ合いを大切にする教育を実践しているのです。本校で合宿がとても多いのはそのためで、教員も生徒と長い時間を過ごします。そうした時間を通じてお互いに理解を深めるとともに、生徒同士も励まし合って、共に成長していくのです。それができるように、クラス担任は基本的に中学3年間、あるいは中高6年間持ち上がります。
松本 キリスト教教育に関しては、どのような機会に行っているのでしょうか。
田沢 全校生徒が参加するミサが年1回(1月31日の聖ヨハネ・ボスコの記念日)あるほか、希望者参加のミサが年に5回ほどあります。また、毎日のホームルームで祈りを唱え、わたしともう一人の神父が朝の校内放送で話をします。そうしたことが、生徒の心の成長につながることを期待しています。
◎学校関連リンク◎
◎人気コンテンツ◎