受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

合宿などを多く実施して
他者の個性も尊重できる
「世の光」となるリーダーを育成

大阪星光学院中学校・高等学校 校長 田沢 幸夫 神父

和歌山、長野、校内の施設で合宿
集団生活で多様な個性を認め合う

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約6万冊の蔵書のある図書館
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大阪市の中心部という立地ながら、正門を入ると大きなグラウンドが広がっています

松本 さて、貴校は合宿が多いのが大きな特色ですが、ここ数年は新型コロナウイルス感染症の影響で、それもなかなか実施が難しい状況でしたね。

田沢 そうですね。本校では本来、中1だけでも合計20日間、高校まで入れると6年間で60日間ほどの合宿があります。コロナ禍の今はそれほどの日数を確保できませんが、昨年の秋ごろから少しずつ実施できるようになりました。本校は、学校内にある「聖トマス小崎研修館」という合宿施設に加え、校外に大きな合宿施設を二つ持っています。和歌山県のみなべ町にある「南部学舎」と、長野県北部の黒姫高原にある「黒姫星光山荘」です。昨年の秋には、南部学舎で中1と中2が1泊の合宿を、それぞれ2グループに分けて実施しました。また、今年は中2が1月に、中1が3月に、岐阜県の白鳥高原でスキー教室を2泊3日で実施しました。本来なら、スキー教室は黒姫星光山荘で行うのですが、なるべく密を避け、移動距離を短くするために別の場所を探したわけです。今回はスキーのインストラクターも現地の方に頼みましたが、本校では伝統的にスキー指導も本校教員が行っています。

石原 合宿で寝食を共にしながら学ぶというのは、男子校ならではの良さですね。

田沢 はい。特に中1の段階では女子のほうが成長も早いので、共学だったら男子は女子に圧倒されてしまいますが、男子校ではそういう心配もなく、異性の目を気にせず個性を伸ばせる良さがあります。

松本 大阪府の男子校のみの中学校は、貴校を含めてわずか3校になってしまいましたが、貴校はこのまま男子校を維持されるのですね。校内の研修館では、どのような内容の合宿を行っているのですか。

田沢 まず中1では、入学すると間もなく、各クラスから1回につき7名ずつを集め、各回28名での合宿を校内の研修館で行っていました。本来なら月曜から土曜まで1週間にわたる合宿ですが、今は1グループ16名ほどとして、2泊3日で実施しています。この研修の目的は、学校中心の学習をする習慣を徹底的に身につけさせること。研修館から学校に通いながらも、ベッドメイキングや洗濯など自分のことは自分で行います。自習室もあり、授業の予習・復習もします。そうした学習のリズムも含め、星光生としての基本的な生活習慣を身につけてもらうのです。

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中1の美術の授業の様子

 また、研修館には娯楽室もあり、卓球台などが置いてあります。合宿中はわたしも一度は訪ね、生徒たちと話をしたり、卓球をしたりしています。研修館でも南部学舎でも黒姫星光山荘でも、休み時間は伸び伸びと楽しむのが本校の合宿です。南部学舎のグラウンドでは、生徒と教員が一緒にサッカーをすることもあります。本校では、仲間たちといろいろなことを一緒にしながら、自分と違う個性を持った人を受け入れていく姿勢を学ぶのです。そのため、かなり個性的な生徒であっても仲間に受け入れられる、認められる風土が本校にはあるのです。

石原 合宿以外の主な学校行事には、どんなものがあるのでしょうか。

田沢 本校の体育大会にはユニークな伝統があり、中1生が「箱根山体操」という体操をしています。それが良い思い出になっているようで、高3生が最後に「またその体操をしたい」と希望する場合があります。そんな体育大会も、ここ2年は保護者を招かず、中学と高校とに分けて、それぞれ半日で実施しました。また、スクールフェア(文化祭)も外部からの来場者を呼ぶのを見合わせていました。企画のなかでは、生徒が考えて安全対策も徹底した「ジェットコースター」が、特に小学生に人気です。

 また、高校の修学旅行は生徒から行き先の希望を募るので、学年によって行き先が違います。最近は北海道が続いていましたが、沖縄や長崎の年もありました。本校では中学生の日帰り行事も多く、学年ごとに企画しています。先日は、中1が神戸海洋博物館に行き、中3が京都で歌舞伎鑑賞をしました。葛城山や金剛山での日帰り登山なども実施しています。

22年7月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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