受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

学ぶ楽しさを実感しながら
社会課題を解決できる
理工系スペシャリストをめざす

芝浦工業大学附属中学高等学校 校長 柴田 邦夫 先生

「理系」ではなく「理工系」
ものづくりの視点と経験を重視

先生写真
校長 柴田 邦夫 先生

神田 教育の柱となるのは「理工系教育」だと思います。先生は「理系」ではなく「理工系」ということばを使い、「理工系の知識で社会課題を解決していくことをめざす」とおっしゃっていますね。

柴田 「理系」というと、どうしても数学・物理・化学といった個別の科目が連想されます。そうした枠を超えて、ものづくりに焦点を当てるのが本校の「理工系教育」です。近年、STEAM教育(科学・技術・工学・芸術・数学の五つを総合的に学ぶ教育)の重要性が叫ばれています。本校のSTEAM教育は科学的探究心と、ものづくりの経験を大切にした独自のものです。

 その一例として「ショートテックアワー」という授業があります。これは音楽や体育も含め、全教科の教員が担当教科と科学技術のかかわりについて紹介する授業です。たとえば国語では、太宰治の『走れメロス』の一部を引用して、その続きをAIに創作させるという授業があります。また数学では、折り紙工学の基本を学んでから、紙の対角線の部分を押したり引いたりするだけで即座に簡単に展開・収納ができる「ミウラ折り」のプロダクト事例の分析を行う授業があります。本校のスクールマップも「ミウラ折り」を使っていて、片手で簡単に広げられ、たたむときもシュッとたためます。

神田 おもしろそうな授業ですね。「ミウラ折り」は宇宙構造工学の研究に基づく折りたたみ技術で、さまざまな商品で実用化されています。また、『走れメロス』の続きをAIに創作させるなど、注目されている技術を取り上げているのはすばらしいことです。

キャプションあり
上/授業や部活動のほか、入学式や卒業式でも利用されるメインアリーナ
下/工作技術研究部の活動拠点でもあるファクトリー

柴田 本校ではすべての教員が理工系の知識を持ち、担当科目の学びのなかに理工系の知識を取り入れています。生徒は何をきっかけに興味を持つかわかりません。教員が持っているものは、科目の枠を超えて何でも教えてほしいと思っています。

谷口 中3の特別授業「サイエンス・テクノロジーアワー」も同じようなものですか。

柴田 教科書から離れ、さまざまな理工系の専門分野にかかわる授業を行うものです。たとえば、DNAの抽出、天体望遠鏡の製作などのほか、大学の先生を招いて生命科学の実験を行う授業もあります。

神田 資料を拝見すると、基礎生命科学の実験のなかに、遺伝子ゲノム編集を行うものがあります。遺伝子組み換えに関しては法律での規制がありますが、そのこともきちんと学ぶ内容になっていますね。実験を行うだけではなく、生物多様性を守る視点を取り入れるのは大切なことだと思います。

柴田 理工学に携わる際につきまとう問題は数多くあります。どの授業でも、「これをやることによってどうなるか」「これをつくるに当たってはどんなことを考えなくてはいけないのか」と、常に考えさせています。

25年3月号 さぴあインタビュー/全国版:
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