受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

※お好きな本のタイトルをクリックして下さい。その本に関する内容が、表示されます。

掲載月一覧 2026年2月|2026年1月2025年12月2025年11月2025年10月2025年9月
2025年8月2025年7月2025年6月2025年5月2025年4月2025年3月
Books目次へ△

2025年11月のBooks

 Booksコーナーでは、小学校低学年から高学年までを対象とした読み物や、保護者の方向けの図書を、新刊中心に紹介しています。学習の合間などに、ぜひ読んでみてください。

『もしも君の町がガザだったら』

  • 高橋真樹=著

  • ポプラ社=刊

  • 定価=1,980円(税込)

  • 対象:小学校高学年向け・一般向け

自分事として考えれば
人々を苦しめている
世界の仕組みが見えてくる

注目の一冊

 君は小学6年生。家族は両親、兄、妹。どこにでもいる普通の家族です。でも君たちが住むこの町は普通ではありません。町は壁で囲まれ外に出られません。食べ物も薬や燃料も入ってきません。食糧は不足し、クラスの3人に1人は栄養失調です。お父さんの工場はつぶれました。町の半分の人が仕事を失いました。町は突然、攻撃されることもあります。避難先の学校も空爆を受けました。もしも君の町がガザだったら、普通の生活を送っていた君がこんな目にあってしまうのです。
 数百人が犠牲になった、数十パーセントの学校が攻撃を受けたなど、ガザの被害状況はよく数字で伝えられます。「でも人々の本当の痛みは数字だけでは伝わらない」と著者は言います。重傷の家族を連れてたどり着いた病院が破壊されていたと知ったときの絶望感も、体がバラバラになったときに確認できるよう腕に名前を書く少年の気持ちも、わからないのです。パレスチナ問題は、宗教や民族の対立が原因の難しい問題だと思われがちです。しかし著者は「難しい問題ではない」「解決策はある」と明言。問題を難しくしている要因を解きほぐしながら、その原因が世界のあり方にあると説き、わたしたち一人ひとりにもできることがあると強く訴えます。親子で読みたい「パレスチナ問題」の入門書です。

『あいことばは あらしのよるに』

  • きむらゆういち=作

  • あべ弘士=絵

  • 講談社=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

オオカミとヤギ
友情は続けられる?

 あらしの夜に小屋で出会った、オオカミのガブとヤギのメイ。ヤギはオオカミの大好物ですが、メイは別。2匹は友だちになりました。ある日、2匹は岩山でイヌワシに襲われ、ガブは崖から落ちてしまいます。メイはガブを探しますが見つかりません。かみなりの音で洞窟に飛び込んだメイ。そこには足をけがしたガブがいました。
 「食うもの」と「食われるもの」の関係を超えた2匹。でもちょっとした隠し事が原因で、友だち関係が危機に!? 大切な人を信じるすばらしさを描く人気シリーズの、新シリーズ第1弾です。

『こぐまのララはうたう』

  • ウー・イージェン=作

  • リャオ・ペイツー=絵

  • よしだるみ=訳

  • 国土社=刊

  • 定価=1,650円(税込)

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

「命令だ、歌うな」ってどういうこと?

 こぐまのララは恥ずかしがりや。歌ったり、はちみつをとったりして、独りで過ごすのが好きです。ある日、いつものように歌っていると突然、王様の家来がやってきて、「歌ってはいけない」と怒鳴られました。そして牢屋に入れられ、離れ小島に連れていかれました。ララの生活はすっかり変わりました。
 ララにはモデルがいます。日本の漫画文化の紹介に貢献した蔡さんです。蔡さんは1950年、戒厳令下の台湾で突然、無実の罪で逮捕され、10年間も投獄されました。その経験をもとに、表現の自由の大切さを絵本を通して伝えます。

『復活! まぼろしのだいこん』

  • 野泉マヤ=文

  • 丹地陽子=絵

  • 文研出版=刊

  • 定価=1,650円(税込)

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

作る人がいなければ
消滅? それでいい?

 ママの実家は、宮城県北西部の里山の地。その周辺を散歩していた鈴はある日、白い花畑を見つけます。小さな花たちが風に揺れる姿は、まるでレースのようです。実はその花は、「小瀬菜だいこん」という伝統野菜の花でした。
 伝統野菜とは、昔から特定の地域で作られてきた野菜のこと。お店には並ばず、種も売られていないため、栽培する人がいなくなれば消滅してしまいます。そんな伝統野菜の復活に鈴が取り組みます。野菜を育てる農家の思いが伝わってきて、農作物にも多様性が大切なことがわかります。

『リュウグウのすないど
チームでしょうわくせいのサンプルをぶんせき

  • 伊藤元雄=著

  • さらちよみ=絵

  • くもん出版=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

小惑星の砂を分析して
見つけたものとは

 小惑星探査機「はやぶさ2」が、小惑星「リュウグウ」の砂を持ち帰って約4か月。いよいよ砂を間近で見る日がきました。期待を胸にクリーンルームに入る研究チームのメンバーの目は、容器内の黒い粒に吸い寄せられました。
 地球の生命の源はどこにあるのか。その解明につながるのがリュウグウの砂です。この砂に水や有機物が含まれていれば、地球の水や有機物は小惑星が運んできた可能性が高まります。この砂の分析に挑んだ著者が、調査・分析の過程と結果をわかりやすく説明します。宇宙科学への興味が湧く一冊です。

『名門校の本棚』

  • 平林理恵=著

  • 日経BP=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:保護者向け

名門校の先生が薦める
子どもに読ませたい本

 読書の役割とは何でしょう。「他者が書いたものを通して、自分の当たり前を揺さぶること」と言うのは灘中高の井上志音先生です。国語の授業でも「クリティカルシンキングの力をつけたい」と先生。さて、そのためのお薦めの本とは?
 開成、渋幕、聖光など、名門中学・高校の先生方が生徒に読ませたい本を紹介する、異色のブックガイドです。小説、古典、哲学書、科学書、漫画などジャンルはさまざま。自身の読書体験や、その本を取り上げた授業の様子も紹介。本を通して生徒に何を伝えたいか、先生たちが熱く語ります。

さいしんけんきゅうせま
ものせいたいかん

  • きのしたちひろ=著

  • エクスナレッジ=刊

  • 定価=2,420円(税込)

知ってほしい、生き物のすごさと
それを見つけた研究のすごさ


所沢校校舎責任者

 皆さんは「この生き物ってすごっ!」とか「この生き物みたいなことができたらいいな」なんて思ったことはありませんか。水族館や昆虫園などに行って、展示されている生き物をじーっと見ていると、生き物たちがおもしろい行動をしていることがあります。「何をしているのだろう」と不思議に思うこともあると思います。そんな生き物たちの生態を解き明かしてくれる本です。
 メジャーな生き物だけでなく、初めて名前を聞く生き物もたくさん登場します。それらの生き物の行動やその目的、利点になりうるものは、研究を始めた人々の観察と発見をきっかけに、研究機関で実験を重ねた結果、わかったものです。そうした生き物の特徴や機能をまねて、製品や技術として取り入れたものもたくさんあります。こういう分野をバイオミメティクス(生物模倣)といいます。たとえば新幹線の形状もそうですし、痛くない注射針や強力な粘着力を持つヤモリテープにも、生き物のからだのつくりや生態が生かされています。人は人が持っていないほかの生き物のすごい特徴をまねして、便利なものをたくさん得ているのです。そんな生き物たちが隠し持った力のすごさを知ってほしいですね。
 説明は親しみやすい手書き文字で書かれ、かわいらしいイラストも豊富に使われているなど、低学年でも生き物の生態がとらえやすいような工夫がなされています。ただ「読む」より、「こんな能力や性質があるとどんな良い点があるのかな」などと考えながら読むと、楽しいと思います。あなたならどんな生き物のどんな能力や性質をまねしたいですか。その能力や性質を使って何をしたいですか。想像しながら読んでみてください。

ページトップ このページTopへ