注目の一冊
『わたしがスカウトされた日』
親友2人がスカウト!?
うらやましいけど
そりゃ落ち込むよ
空、理子、杏奈は仲良し3人組。ある日、学校帰りの3人は、商店街の片隅に「子どももんじゃ、カマド食堂」の看板を見つけます。聞けば、この食堂は、テストで100点をとった子は、3人まで無料でもんじゃを食べさせてくれるとのこと。もんじゃを食べたことがない空は興味津々。成績優秀な理子がテストで100点をとったので、さっそく空たちはカマド食堂に行きます。迎えてくれたのは、カマドさんという沖縄出身のおばちゃんでした。
もんじゃのおいしさにひかれ、理子の答案を持ってはカマド食堂に出掛ける3人。その矢先、驚くことが起きます。色白でかわいい杏奈がプロダクションにスカウトされたのです。そればかりか、なんと理子にもスカウト話がきて、空は何の取りえもない自分がみじめになるのでした。
落ち込む空を元気づけようと、空がいちばんほしかったことばを伝える優しいカマドさんにも、沖縄に帰りたくても帰れないつらい事情がありました。「自分が幸せでなければ人にやさしくできない」というカマドさんのことばが空の心に深く刻まれます。カマドさんとの交流を中心に、努力することの大切さ、人を思う大切さを教えてくれる物語です。終盤にはすてきなスカウトが待っています。
『こんなにかわった!
やさい くだもの むかし・いま』
昔のリンゴは
まるでサクランボ!?
果物や野菜の今と昔を比べると、その違いにびっくりします。たとえばナシ。店頭に並ぶものは大きくて、甘い果汁がいっぱいです。でも昔、ナシは500円玉ほどの小ささで、すっぱい味でした。リンゴもサツマイモも今よりずっと小さく、味も良くありませんでした。
今ある果物や野菜がみずみずしくおいしいのは、当たり前のことではありません。人々が野生のものに改良を加え、長い年月をかけて多くの品種を作ってきたからです。だからといって新しい品種だけを残すのではなく、古い品種を残す多様性の大切さも伝えます。
『ぼくらは物語ハンター』
走るウマ、バイソン…
洞窟壁画が描く物語とは
朝早くテントの中で目が覚める。狩りに出掛ける大人たち。ぼくは、ばばさまを手伝うために一緒に洞窟に向かう。明かりを手に暗い洞窟の中を進んでいけば、着いた先にはぼくたちの物語が待っている。
大昔に人々が暮らしていた土地の至るところで、壁や洞窟に描かれた絵が見つかっています。何千年にもわたって、人は絵で物語を伝えてきました。シカ・バイソン・ウマ・マンモスなど。動物の絵を通して、昔の人が伝えたかったものは何でしょう。カナダの絵本作家が、太古の時代への興味をかき立ててくれます。
『夏を走る!勇気とぼくらのペダル』
大佐渡一周130キロは
ピンチの連続!
佐渡島に住む未知、通称「みっち」は、小柄でちょっと気の弱い4年生。小さいころから空手道場に通っていますが、大会では一度も勝ったことがありません。ある日、みっちは幼なじみのナツキに大佐渡一周サイクリングに無理やり誘われます。それは2日間で130キロを走る過酷なサイクリングでした。
当日は自分勝手でお調子者の大也も加わり、ナツキの祖父のリードで走り始めた3人。自分のこと、友だちや家族のこと。へとへとになってもペダルを踏み続けたからこそ、わかったことがたくさんありました。
『和食のミライ食文化と地域を守る』
食材の生産量が減少
未来の和食を守るには
世界無形文化遺産に登録されている「和食」。海外でも人気を集めていますが、実は今、衰退に向かっています。和食の材料となる米や野菜、お茶などは生産量が減り、人口減や食生活の変化などによって、消費量も減っているのです。
和食には長い歴史があり、料理には知恵や技が詰まっています。そんな和食の魅力を紹介するとともに、課題を考え、和食を守り、未来につなげていく方法を展望します。「食べ物とごみ」「生産地と都市」「農家と消費者」など、分断をつなぐことこそ和食の未来を切り開くと著者は訴えます。
『一番わかりやすい
ブラックホールの本』
宇宙誕生の謎につながる、
その正体とは?
2019年、国際研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」が、M87銀河のブラックホールの撮影に成功し、世界中で話題を集めました。その3年前、直接観測に成功して以来の大きな成果です。
強力な重力で周りのすべてを引き寄せ、飲み込んでしまうブラックホール。光さえも飲み込むばかりか、表面では時間が止まるなど、驚異に満ちた天体です。ブラックホールの性質や構造、形成過程から、研究方法やその難しさまで。宇宙誕生の謎につながるブラックホールのすべてをわかりやすく教えてくれます。
先生お薦めの一冊
用賀校校舎責任者
『モヤモヤそうだんクリニック』
悩み事はあっても
「心に余裕を持って」
勉強を進めてほしい
小学生へのアンケートに匿名で書いてもらった相談事に、脳の研究をしている先生が答えています。読めば「自分と同じ悩みを持っている人がいる」ことを発見できると思います。また、「こんな悩みがあるのか」と見識を広げることに役立つかもしれません。専門的な用語も出てきますが、小学生が読むことを想定した柔らかい語り口で答えているので、勉強の合間の息抜きに読めると思います。
質問はさまざまです。たとえば「ぼくの“やる気のスイッチ”はどこにあるんでしょう」「勉強に集中するにはどうしたらいいですか」「簡単に覚える方法はありますか」などなど。内容ごとに「勉強や学校のこと」「自分や友だちのこと」「ふしぎに思うこと」という3章に分かれています。
特に「勉強や学校のこと」は、受験生の保護者の方々が持つ悩みと重なる部分があると思います。わたしも実際に、同じような悩みを保護者の方から相談されることも多いです。また、勉強以外の質問のなかにも、お子さんが同じことで悩んでいる場合があるかもしれません。外に発信せず心のどこかで思っているような場合は、親も気づきにくいものです。その意味でも保護者の方にも読んでいただきたいと思います。
挿し絵は絵本作家のヨシタケシンスケさんが描いています。この挿し絵が回答にユーモアを添えることで、読む人の心に余裕が生まれ、内容がより素直に受け入れられるようになっています。「受験勉強」というとピリピリしがちですが、心に余裕があるほうがポジティブに物事を進められます。本書の挿し絵と同じように、「頭は全力で、心には少し余裕を持って」受験勉強を進めてほしいと思います。