受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

自由な校風を守り続け
盛んな行事やクラブ活動で
個性あふれる人物を育む

東大寺学園中・高等学校 校長 森 宏志 先生

活発なクラブ活動
中学生は100%超の加入率

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中嶋 貴校ではクラブ活動もとても盛んですね。

 はい、兼部も可能なため、中学生の加入率は100%を超えています。文化系で人気なのは、電子工作部やクイズ研究部などです。なかでも電子工作部はドローンの大会で優勝しました。2019年のカルタ甲子園(高校選手権)で団体3位となった百人一首部などもあります。自分たちのやりたいことがあれば、仲間を集めて顧問を付ければ、同好会として認めています。ドラえもん研究会などユニークな同好会もあります。先日は、ロケット同好会の生徒たちが、新入生へのデモンストレーションを兼ねて、学校の運動場で自分たちで作ったロケットの打ち上げを行いました。上がってすぐ落ちるのが恒例ですが(笑)。

中嶋 そのロケット同好会をつくり、初代の部長を務めた卒業生は現在、東京大学の大学院でロケットの研究をされているそうですね。

 はい。さらに、その教員のなかにも卒業生がいます。

髙宮 朝日新聞の『be on Saturday』で紹介された東大の航空宇宙工学の中須賀真一教授も貴校の卒業生ですね。貴校には、少年時代に好きだったことがそのまま研究対象や仕事になる人も多いのかもしれませんね。

 本校の生徒には、少年時代の夢を持ったまま大人になって仕事をするという現象はあると思います(笑)。教員が導くのではなく、生徒が自分たちで好きなことをやっている結果として、そうなるのです。クラブ活動にも、無駄がたくさんあるのが良いところです。折り紙研究会は最近、同好会から正式なクラブに昇格しましたが、部員は延々と折り紙を折っていて、それで何かの役に立つというものでもありません。今の時代は、そういう無駄な部分がどんどん消し去られています。より合理的なものが求められ、中学・高校は、効率良く志望大学に進学できることだけが重視されているように感じます。

髙宮 今重視されている多様性も、無駄があるからこそ生まれるのではないでしょうか。

 そうですね。そうした無駄がないと、多様性は成立しません。有用性のあるものだけをいくつもピックアップしても、多様性が成立するものではないと思うのです。

中嶋 それでは最後になりますが、貴校をめざす受験生と保護者の方々にメッセージをお願いします。

 本校の自由な校風に魅力を感じて志望してくれる受験生は多いですが、「自由」は「自律」と表裏一体です。コロナ禍という条件のなかでも自分を律しながら、勉強をがんばってほしいという気持ちでいます。努力は、続ければ必ず報われるものです。本校ではいろいろなチャレンジができるので、自分でさらに前進しようと努力を積み重ねれば、必ず可能性は開けるでしょう。不安定な社会情勢という現状に負けず、前に進んでください。

髙宮・中嶋 本日は、貴重なお話をありがとうございました。

21年7月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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