受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

世界に通用する教育を通して
「新しい価値」を生み出す
グローバルリーダーを育成する

海城中学高等学校 校長 柴田 澄雄 先生

多様な学びで興味を掘り起こし
イノベーションを生み出す力を

キャプションあり
上/ICT専門の支援員3名が常駐する「ICT LAB」。支援員は校内のインフラのメンテナンスのほか、教員の授業研究や教材開発の支援も行っています
下/コンピューター教室のパソコンのほか、現高1生以下の1人1台のノートパソコンもすべてMacに統一

堀口 先ほどお話があった「KSプロジェクト」ですが、プログラミング講座、SDGsに関する講座、模擬裁判など、教科の枠を超えたさまざまな学びの場となっていますね。

柴田 ビジネスの世界なら「異分野融合イノベーション」と言いますか、本来つながらないようなものがたまたま重なったり、化学反応を起こしたりして、新たなものが生まれることがあります。そういう素地を頭の中にも行動の中にもつくらなくてはなりません。そのためには、次の二つのことが重要です。一つは、とことん興味・関心を深掘りして、「学ぶのが楽しくてしょうがない」という体験をさせることです。もう一つは、異分野のものをつなぎ合わせる姿勢を学ばせることです。この二つを前提に「KSプロジェクト」を実施しています。そのなかから、数学・地学・生物学などの学会でポスター発表をする生徒たちも出てきています。2021年7月には「新理科館」も完成し、より充実した環境の下で学べる体制が整いました。

 一人ひとりがとことん好きなことに取り組む文化ができているからでしょうか、2021年度は東京大学の推薦入試に2名が合格しています。過去6回の東大推薦入試のうち、本校からは5回エントリーしていますが、すべて合格しています。京都大学の特色入試でもここ4~5年は合格者を出していますし、東北大学のAO入試(総合型選抜)でも、今年度は5名が合格しています。そうした推薦型の入試に多くの生徒が合格していることは、うれしいことです。

 先述の山田くんと同じ学年で、京大の特色入試に合格した卒業生がいます。彼は「魚一筋」で、在学中は生物部で活躍し、学会や生物学オリンピックにも参加して優秀な成績を収めています。当時、ドジョウの研究では修士並みの内容と言われていて、里山保全の活動にも主体的にかかわっていました。彼と山田くんに共通しているのは、中高時代に自分で目標を掲げて主体的に行動する習慣を実践的に身につけたことです。そこが非常に大事なところです。

神田 それこそ本当のアクティブ・ラーニングですね。一般入試の合格者数だけでなく、在学中に何をしていたのか、大学で何をしたいと思っているのか、その部分で評価される生徒が増えているのはすばらしいことです。

22年3月 さぴあインタビュー/全国版:
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