受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

多様な国籍の生徒が集う
グローバルな環境のなか
世界で活躍できる人材を育成

関西学院千里国際中等部・高等部 教頭 田中 守 先生

インターナショナルスクールを併設
英語は5段階のレベル別に授業

松本 まず貴校の歴史から伺いたいと思います。

聞き手1
サピックス小学部
千里中央校校舎責任者
松本 裕隆

田中 関西学院千里国際中等部・高等部(SIS)と、同じキャンパスに併設されている大阪インターナショナルスクール(OIS)は、「Two Schools Together(二つの学校、一つのキャンパス)」です。1991年にOISとともに、主として帰国生を受け入れる学校として開校しました。その後、2010年に関西学院と法人合併をしたことにより、現在の校名に変わったのです。開校して30年がたつので、2021年から3年計画で校舎のリニューアルを始めました。毎年、夏休みを中心に、3階建て校舎の1フロアずつ工事を進めるといったやり方をしています。

松本 SISとOISを合わせると、一般生徒・帰国生徒・外国人生徒の割合は、それぞれ約3分の1ずつになるそうですね。

田中 はい。意図してそのような比率にしています。外国人生徒の国籍、外国人教員の国籍、帰国生徒が居住していた国の数は30~40に及びます。ちなみに、そのすべての国旗を体育館に掲げています。

松本 そうした環境のなかで、授業や行事などは、どのように行っているのですか。

田中 カリキュラムは、英語・数学・国語・理科・社会(地歴公民)についてはSISとOISとで異なりますが、美術・音楽・体育はSISとOISの生徒が一緒に学ぶ「シェアードプログラム」で進めています。また、いわゆる体育祭や文化祭などの行事や、放課後のクラブ活動は両校が合同で行っています。

溝端 外国語を学び、国際理解を深めるには最適な環境だと思いますが、英語のカリキュラムは、どのようになっているのでしょうか。

田中 本校の場合、初めて本格的に英語を学ぶ生徒から英語を母語とする生徒までがいるので、英語の授業は「標準(Standard)レベル」「標準+(Standard Plus)レベル」「中級(Intermediate)レベル」「上級(Higher)レベル」「ネイティブ(Higher Plus)レベル」の5段階のレベル別に実施しています。コース分けに当たっては、必要に応じて学期ごとにプレースメントテストを行い、各自の習熟度に応じたきめ細かい指導を行っています。そのうちネイティブレベルは英語を母語とする生徒向けで、中3ではOISの英語を受講。高等部でもIB(国際バカロレア)を英語のみ受講するという選択肢があります。上級レベルでも、同年代の英語圏の人とほぼ同等の英語力を持つ生徒が対象です。スタンダードから始めた生徒に関して英語科がめざすのは、高等部への進学時に中級レベル以上の力をつけること。授業もハードです。たとえば、ネイティブ教員が担当する中3の「コミュニケーション」という授業の参加者には、英語の本が1冊ずつ渡され、「毎日これだけ読んでくるように」という課題が出されます。そして、翌日の授業では、読んだ内容に基づいてディスカッションを行います。1クラスが十数人という少人数ですから、互いに気心の知れた仲間として、発言するのが当たり前の環境です。ライティングも英語の小論文を書く作法をみっちり学び、毎週課題が出ます。そうしたことが1年間続くのです。それくらいやって、初めて英語が自分のことばになるというのが、本校の英語科の考え方です。頭の中で翻訳するのではなく、ダイレクトに英語で理解し、考えて、英語で表現できるようになるということです。この段階で、英会話は普通に成立します。高等部では英語そのものを学ぶ授業もありますが、「history(歴史)」「literature(文学)」「debate(議論)」「translation(翻訳)」「psychology(心理学)」といった自由選択授業も30種ほどあり、それらをどう組み立てていくか、英語力をどこまで上げるかを自分で考えて選択するのです。

松本 かなりハードな内容ですが、それだけこなせれば相当な力がつきそうですね。

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22年3月号 さぴあインタビュ ー/関西情報:
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