さぴあインタビュー/全国版
専門性が高い教員による授業と
実体験で「知的基礎体力」を養い
みずから未来を切り開く力を育む
東京学芸大学附属世田谷中学校 校長 福本 みちよ 先生
3年間で育てたいのは
経験に基づく「知的基礎体力」
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹
神田 初めに、貴校の沿革について、ご紹介いただきたいと思います。
福本 本校は1947(昭和22)年に、東京第一師範学校男子部附属中学校として開校。教員養成を使命とする東京学芸大学の附属学校としての役割を担いながら、75年の歴史を刻んできました。国立大学の附属校というと、大学の研究に利用されるという印象が強いと思いますが、学習指導要領に則った普通教育を行いながら、大学で行われる研究と現場の実践をつなぐことが一番の役割であり、その成果を全国の中学校に発信していくのが本校の務めです。基本的に、附属校の校長は東京学芸大学の教授が務めており、わたしも教職大学院の教授をしながら本校校長を務めています。
神田 教育目標として、「個性的で人間性豊かな人格をつくる」「創造性豊かな人間を育てる」「敬愛の精神にあふれた人間を育てる」の三つを掲げています。貴校がめざしている教育について、ご自身の教育観とともにお聞かせいただけますか。
福本 考えていることは二つあります。一つは「経験に勝る宝はない」ということです。中学校の3年間はとても大切です。義務教育の最終段階として、きちんと次のステップにつなげなくてはなりません。この3年間は、小学校生活を通じて学んできたこと、培ってきたことの自覚を強め、この先、自分がどうしたいのかを自分で見つけていくための期間であるはずです。しかし、今はそこに保護者の方がかかわり過ぎたり、ICT(情報通信技術)などが入り過ぎたりして、本来子どもが自分で経験すべき機会がどんどん減っています。もっと自分で経験して、苦労して、自分で判断して、またその楽しさを知っていかなくてはなりません。
そのために学校はいろいろな経験をさせる必要がありますが、場を与えるだけで、「さあ、やりなさい」というものではいけません。自分で考え、自分で判断するには、そのための力が必要です。わたしはそれを「知的基礎体力」と呼んでいます。この「知的基礎体力」を中学3年間でいかに身につけられるかが勝負といえます。そのために、学校では場も与えますし、ツールも与えます。しかし、大事なのは、その場とツールを使いこなす力であり、その力が人を育てていきます。その過程を支えるのが教員の役目なのです。
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