受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

チャレンジする意欲を伸ばす
開かれた教育環境が
未来を創る力を育てる

渋谷教育学園渋谷中学高等学校 校長 高際 伊都子 先生

「自調自考」のもう一つの意味は
「自分を調べ、自分を考える」

神田 初めに学園の沿革と、これまで先生がかかわってこられた経緯についてご紹介いただきたいと思います。

高際 本学園は1924(大正13)年に、渋谷女子高等学校としてスタートしました。当時、急激な経済成長を遂げていた日本では、女性の働き手が求められ、学園でも仕事に就くための実践力を女性につけることを目的としていました。戦後も女性の社会貢献をめざして教育を行ってきましたが、女子の大学進学率が上がっていくなかで、大学進学を支援する学校へと形を変えていきました。

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

 大きな転機になったのは、千葉県からの誘致に手を挙げて、1983(昭和58)年に渋谷教育学園幕張高等学校を、86年に同中学校を設立したことです。幕張中・高では、知識を身につけることと同時に、学びの本質にかかわる内容を取り入れる方針で学校目標を定め、新しいスタイルの共学校としてスタートしました。同校がうまく動き出したこともあり、渋谷でも同様の教育を行おうと、共学の中高一貫校に改組する決断をしました。そして1996(平成8)年に、新校舎の完成とともに本校が開校したのです。

神田 そのときに定められた教育目標が、幕張と同じ「自調自考」ですね。

高際 幕張も渋谷も同じ教育目標を設定しています。「自調自考」のほか、「国際人としての資質を養う」「高い倫理感を育てる」の三つです。「自調自考」とは「自分で調べ、自分で考える」ことですが、もう一つ意味があります。「自分を調べ、自分を考える」、つまり自分がどんな人間なのかを中高時代にしっかり考え、それをベースにして人生を歩んでいってほしいということです。二つ目の「国際人」は、ボーダーフリーな世界になることを見据えて設定した目標です。海に囲まれた日本では、特に「自分たちは国際人である」ということを意識し、さまざまな文化や宗教を持つ人と触れ合っていかなくてはなりません。その際には人間として守るべき社会的規範があります。だからこそ、「高い倫理感」を掲げているのです。

 この三つが幕張と渋谷が共有する学校目標です。渋谷は幕張とは立地が違うこともあって、特に「国際人」の育成に力を入れたいと考えてスタートしました。わたしは開設当初から本校で教員をしており、長く副校長を務めていましたが、この春、前校長の田村哲夫先生が学園長になり、わたしが校長に就任しました。

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22年12月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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