受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

チャレンジする意欲を伸ばす
開かれた教育環境が
未来を創る力を育てる

渋谷教育学園渋谷中学高等学校 校長 高際 伊都子 先生

世界中から約900人が参加
学びのオリンピック「SOLA」を主催

先生写真
校長 高際 伊都子 先生

神田 国際人の育成については、さまざまなことで先んじられています。たとえば、毎年11月に開催される高校模擬国連大会では、第1回から昨年の第15回まで、渋谷と幕張の両校のいずれかが必ず優秀賞または最優秀賞を受賞されています。ニューヨークでの国際大会にも、第1回から代表を送り続けています。これはすばらしいことです。

高際 模擬国連のおもしろいところは、自国以外の国に立ち位置を置くことです。たとえば、アフリカのどこかの国の大使になって問題点を考えることもあるわけです。メディア一つをとっても、日本なら日本の法にのっとった情報発信をします。しかし、アフリカの国の大使になれば、アフリカ人の見方で情報をとらえ、考えなくてはなりません。その点で非常に多様性を身につけることができると思います。

神田 今年8月には、昨年に続いてオンラインで「SOLA(Shibuya Olympiad in Liberal Arts)」を開催されましたね。2018年、貴校では文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)の活動の集大成として、世界18か国28校の高校生が参加して水問題について考える「世界高校生水会議(Water is Life 2018)」を開催されました。2019年にはWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業実施委託校の指定を受けて、活動を続けてきましたが、「SOLA」はその集大成ということですね。

キャプションあり
上/生徒一人ひとりがテーマを決めて取り組む「自調自考論文」。その優秀作品の要旨をまとめたポスターが廊下に展示されています
下/校舎エントランスに設置された、学園長・田村哲夫先生の銅像

高際 WWLに指定されて高校生会議をやろうと決まったとき、生徒たちがイメージしたのは、中学生のときに見聞きした水会議です。当時、「自分たちも高校生になったらやりたい」という思いがあって、「SOLA」の実行委員に手を挙げてくれる生徒が多かったのです。そこで実行委員が中心となって、全校生徒に企画案を募りました。WWLの連携校はたくさんありますから、その仲間たちも参加できるよう、また中学生でも参加できるよう、国際部門と国内部門の二つを設けて内外に呼び掛けました。その結果、17の国と地域から、計170校・約900人の中高生が参加してくれて、みんなに喜んでもらえる催しになりました。

堀口 170校・900名とは大規模ですね。世界からも集まって、どうやってこの大きな国際会議を子どもたちの手で実現できたのかと驚きます。

高際 インターネットがなかったら、ここまでの規模にはならなかったと思います。核になったのは2018年の水会議のときに出会った学校と、学校交流で出掛けているオーストラリア、シンガポール、ベトナムの学校とのネットワークです。そのほか、生徒たちが友だちを誘うというつながりもあって、オンライン開催ということも相まって、この規模でも実現できました。いずれにしろ、子どもたちの力はすごいと思います。

堀口 授業やホームルーム連絡などで、日常的にパソコンやタブレット端末を活用しているからこそできたことでもありますね。

22年12月号 さぴあインタビュー/全国版:
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