受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

SSHとグローバル教育を両輪に
生徒の夢を実現するための
「仕掛け」がたくさんある学校

立命館中学校・高等学校 校長 東谷 保裕 先生

環境が整うキャンパスは
生徒の考える力を育てる場

聞き手1
サピックス小学部
千里中央校校舎責任者
松本 裕隆

松本 初めに貴校の歴史からお聞かせください。

東谷 立命館大学の前身である京都法政学校は、1900(明治33)年の創立です。本校はその5年後に、清和普通学校という名称で誕生しました。建学の祖である中川小十郎は、後に二度内閣総理大臣になった西園寺公望が文部大臣(現在の文部科学大臣)だったときの秘書官で、京都帝国大学(現在の京都大学)の設立に当たったことでも知られています。

 フランスに留学し、ソルボンヌ大学を卒業した西園寺は、帰国後、自由主義的精神に基づき、進取の気質に富む青年を育成するため、京都御所内にあった自宅に、私塾立命館を開きました。中川は、この立命館の「自由と清新」の精神を受け継ぎ、今日の立命館大学につながる京都法政学校と、本校の前身である清和普通学校を設立したのです。戦後には、民法学者の末川博を学長に迎え、それまでの「自由と清新」に加えて、「平和と民主主義」を新しい教育理念としました。

松本 2014年9月には、京都市深草から現在の長岡京市にキャンパスが移りました。周辺は閑静な住宅地で、施設や設備もすばらしく、とても恵まれた環境ですね。

東谷 本校では、生徒の自主性を引き出すための環境づくりに力を入れており、探究活動や課題研究などの発表の場としてふさわしい施設・設備を整えました。延べ床面積は約3万9000㎡と、旧キャンパスの1.4倍です。グラウンドや体育館などの運動施設も可能な限り広く確保しました。三つあるグラウンドの一つは全天候型で、2023年秋にはリニューアルが終わる予定です。また、1100名収容する大ホールやメディアセンター、吹き抜けのオープンスペース、ランチルームといった共用施設を建物の中心に配置し、各階のフロアをこれにつなぐことによって、学校全体の一体感を出しています。

 今の世の中は、答えのない問題に対処し、課題を解決していく力が求められています。知識は大切ですが、みずから考える力はそれ以上に大切です。考える力は何もせずに身につくものではなく、調べてわかったことや、それに対する自分の意見を論理的に組み立ててプレゼンテーションをするトレーニングがぜひとも必要です。それを可能にする施設を充実させ、さまざまな仕掛けを設けているのです。廊下が広く、ゆとりスペースが多いのは、生徒たちの作品やプレゼンに用いるポスターを展示するためでもあります。プレゼンのための専用教室も設けました。

松本 先ほど、高1生がパワーポイントを使いながら英語でプレゼンテーションをする様子を拝見しました。高1生とは思えないレベルの高さで、とても驚きました。

東谷 人前で話すことに対する心理的なバリアもありますが、生徒たちはそれを乗り越え、みんな一生懸命やっています。用意した原稿をただ読むのではなく、しっかり咀嚼したうえで発表しているのです。そういった取り組みを授業のなかで実践しています。また、英語の授業は、文法説明などを除いて基本オールイングリッシュで進めています。たとえば、SSHの取り組みでプレゼンをしようと思ったら、科学的な内容を英語で理解し、表現できなければなりません。しかも、きちんとした発音で質問できなければ、海外のポスターセッションでは通用しません。自分の発表に対して相手から質問されたら、英語で的確に答えられるコミュニケーション力も必要です。そうでなければ、海外のワークショップに参加しても高い評価を得ることはできません。ふだんの授業を通してしっかり学び、何回も練習を繰り返して、心理的なバリアを外し、本当の英語スキルを身につけていってほしいと考えています。

松本 グローバル教育は貴校の特徴の一つですが、ふだんからそのように実践されているのですね。

東谷 はい。さらに、たとえば韓国のKorea Science Academyや、タイのMahidol Wittayanusorn Schoolなど、世界15か国のトップ校と一緒に、さまざまな取り組みも行っています。優れた学校の生徒たちと共に取り組むことで生徒は刺激を受け、力を伸ばす原動力となっています。

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23年2月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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