受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

SSHとグローバル教育を両輪に
生徒の夢を実現するための
「仕掛け」がたくさんある学校

立命館中学校・高等学校 校長 東谷 保裕 先生

サイエンスとグローバルを
連動させた課題研究の機会も

中山 SSHやSGHの取り組みについても教えてください。

聞き手1
サピックス小学部
西宮北口校
中山 厚平

東谷 SSHは5期連続で指定を受け、現在は21年目になります。その大きなイベントが、例年11月に開催されるジャパン・スーパー・サイエンス・フェア(JSSF)です。これは、海外19の国と地域から25校、国内は早稲田大学本庄高等学院などトップクラスの10校が本校に集まり、共同課題研究の発表やサイエンスのグループワークをするという企画です。事前にテーマとグループを決め、まずオンラインで科学的な共同課題研究を行います。研究成果を最終的に対面でプレゼンするのが、11月のJSSFです。今年度は、3年ぶりに対面でプレゼンができました。やはりオンラインで行った過去2年間とはまったく違いました。最後は、参加者全員が感極まり、涙、涙でした。海外の学校もいずれもトップ校の生徒たちですから、将来は学会などで出会うこともあるでしょう。すでに本校の生徒たちもLINEなどで交流を続けているようです。

松本 将来、世界を変えるような発明・発見をするかもしれない生徒たちの発表を聞けたことは、かけがえのない経験になったはずです。貴校の場合は、SSHとSGHの両方の指定校ですので、サイエンス教育とグローバル教育を連動させながら行えるところが特長ですね。

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校舎の中心に位置する、5万6000冊の蔵書がそろうメディアセンター(図書館)
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プレゼンテーションルームでは、それぞれの生徒がICT機器を活用しながら発表します

東谷 そうですね。サイエンスとグローバルは切り離せるものではありません。たとえば新型コロナウイルス感染症に関する研究もそうですが、今の科学研究は世界の科学者が同時に連携して行っています。英語で書かれた最新情報をインターネットで確認し、それをもとに自分の研究を行うといった具合ですから、当然、英語のスキルは必要です。最新の情報にどれだけ自分がアクセスできるかも大事ですが、それをもとに海外の研究者に共同研究を申し込むといったコミュニケーション力や、自分の研究内容をプレゼンする発信力も求められます。そうした力に加え、リーダーシップや粘り強さなどといった数値化できない非認知能力も、課題研究を通して養われていくのです。グローバルとサイエンスが連動し、非認知能力も含めて伸ばしていけるのが、本校のいちばんの強みだと思っています。

 以前、心理学の勉強をしている女子生徒がいました。彼女は本校に在学中、アメリカの学会にリクエストの手紙を出し、その学会に呼んでもらって、みずからの研究に関してポスター発表を行いました。そして、その研究などが高く評価され、UCLAバークレー校に入学することになったのです。複数の奨学金を得て活躍しています。英語の能力はもともとあった生徒ですが、それに加え、行動に移す熱意もあったからこそ、思いが実現したのです。

23年2月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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