受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

「自調自考」の実践と
「渋幕的自由」の風土が
世界で挑戦する力を育む

渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 校長 田村 聡明 先生

創立から40年、輝かしい歴史は
在校生と卒業生の努力の歩み

神田 田村聡明先生は長く副校長を務めてこられ、昨春、それまで校長を兼務されていた学園長の田村哲夫先生から引き継ぐかたちで校長に就任されました。あらためて学園の沿革からお聞かせください。

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

田村 本校は1983(昭和58)年に開校しました。学園長であるわたしの父は、渋谷教育学園渋谷中学高等学校の前身である女子校の経営に携わっていましたが、時代の変化に対応する新しい学校をつくろうということで、千葉県からの誘致に手を挙げて、幕張の地で男女共学の中高一貫校を創立しました。そのとき、この先は国際化が進み、日本人が海外で活躍する場が広がることを見据え、新しい時代に必要な教育目標として「自調自考の力を伸ばす」「高い倫理感を育てる」「国際人としての資質を養う」という三つを定めました。

 わたしは、大学卒業後は銀行に勤めていましたが、父から学園の業務を手伝ってほしいと言われ、2003年に銀行を辞めて教育現場に入りました。子どものころから教育事業に一生懸命に携わる父の姿を見てきて、教育は大事だという話を聞いて育ったので、その思いを継いでしっかりやっていくことは、社会的にも大きな意義があると思っています。

神田 教育目標のお話がありましたが、特に、みずから調べみずから考える「自調自考」ということばは、今や中等教育だけでなく高等教育にも広く浸透しています。明日は何が起こるかわからないような時代のなかで、「自調自考」という生き方はとても重要です。それに加えて、「国際人としての資質」と「高い倫理感」も現代だからこそ身につけなければならないものです。こうした理念の下で人間性を育んで卒業された方々が、幅広い分野でキャリアを形成して活躍されているのはすばらしいことです。

田村 卒業生たちの多くは、社会に出てからも本校の教育理念を心に刻んでくれています。「研究者になった今も、一生懸命に自調自考をしています」「倫理感を意識しながら取り組んでいます」ということばを聞くと、これらを教育目標に掲げてきたことの意味を強く感じます。

神田 卒業生の皆さんの活躍している分野を見ると、実に幅広いですね。「文武両道」ということばがありますが、「文」では研究者や芸術家として、国際的に一流の成果を収めている方が数多くいらっしゃいますし、「武」ではオリンピックやサッカーのワールドカップに出場された方がいます。さらに、在学中から輝いている方も少なくありません。

田村 昨年11月に開かれた全日本学生音楽コンクール全国大会のピアノ部門で優勝した男子生徒(中3)がいますが、多くの生徒が学業以外でもさまざまな活動をしているのが、本校の良いところだと思っています。

神田 そうした環境があると、生徒がそれぞれ好きなことに伸び伸びと邁進できます。また、それが成果につながっているように思います。なかでも目を見張るのが、模擬国連の実績です。毎年、全日本高校模擬国連大会では優秀な成績を収め、ニューヨークの国連本部で行われる国際大会に日本代表として何度も派遣されています。しかも2014年には、国際大会で日本初の最優秀賞を獲得していますね。

田村 昨年も、模擬国連の最優秀賞2校のうちの1校に選ばれ、今年5月のニューヨーク大会への派遣が決まっています。

神田 また、2018年には「Water is Life」という世界の高校生たちによる水問題の国際会議を渋谷教育学園渋谷中高と共催し、大きな成果を挙げています。開校わずか40年でこれほどの歴史を刻んでいる学校はないと思います。

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23年3月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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