受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

創意工夫があふれる
先進的・先導的な教育を通じて
未来を強く生き抜く力を育む

筑波大学附属中学校 校長 水上 勝義 先生

教育の原点として受け継がれる
校訓「強く、正しく、朗らかに」

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

神田 筑波大学附属中学校は今年で創立135年を迎える伝統校です。初めに、学園の沿革からご紹介いただきたいと思います。

水上 本校は1888(明治21)年に、高等師範学校初の附属尋常中学科として設立されました。小学校を卒業した子どもたちが進学して学ぶ場であるとともに、師範学校の学生が教員になる前の教育実習をする場としてスタートしたのです。その役割は現在も変わらず、筑波大学の教育研究に協力するとともに、教員を育てる手伝いをし、全国の学校に向けて先導的教育の見本となるような新しい研究なども行っています。

神田 第3代の校長は、講道館柔道の創始者であり、日本の学校教育に多大な影響を与えた嘉納治五郎先生です。嘉納先生の精神は「強く、正しく、朗らかに」という校訓にも反映されているとのことですね。

水上 校訓の「強く」とは「自主自律の精神」を持って、困難に直面してもくじけず、努力を続けることを意味します。「正しく」は人間としての正しい知識、正しい判断力を軸にして行動するということです。そこには嘉納先生が唱えた「精力善用」「自他共栄」の精神が含まれています。「精力善用」とは自分の力を世の中を良くするために最大限に使うこと、「自他共栄」とは人との信頼関係を築き、周囲の人々と共に繁栄していくことを意味します。嘉納先生は、日本古来の「柔術」を「柔道」という人の道に進化させました。そこが教育と柔道とがオーバーラップするところだと思います。一方、「朗らかに」には、明朗率直な態度で周囲と信頼関係を結んでいくことが大切だ、という意味が込められています。

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23年5月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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