受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

創意工夫があふれる
先進的・先導的な教育を通じて
未来を強く生き抜く力を育む

筑波大学附属中学校 校長 水上 勝義 先生

中3が担う最高学年としての責任
上に立つ経験が成長を促す

神田 学校行事も生徒主体で進めていく部分が大きいのでしょうか。

キャプションあり
上/桐陰会館2階の資料室。筑波大学附属中学校にまつわる貴重な記録や資料が展示されています
下/中学校の校舎。敷地内にはグラウンド、体育館、武道館などの施設が充実しています

水上 本校では、修学旅行も校外学習も学年行事も生徒主体で活動するため、企画・運営力、主体性、合意形成など社会で生きるための素養を磨くことができます。スポーツ大会でも、競技は何をやるのか、チーム分けをどうするのか、表彰式はどう進めるのかなど、ほとんどを生徒たちで決めます。

西川 修学旅行が行われるのは3年生の5月ですね。どのような内容なのでしょうか。

水上 修学旅行では「文学コース」(国語)、「自然コース」(理科)、「産業コース」(社会)を中心に、五つのコースに分かれて行動します。それぞれの内容の大枠は決まっていますが、担当する教員によって異なる活動を組み入れるので、毎年マイナーチェンジしています。どの教員も「自分が組んだコースがいちばんおもしろい」と思っています。それを生徒に向けてプレゼンして、興味・関心のあるコースを生徒自身が選ぶわけです。コースが決まったら何を目的に、どんな学習や活動を行っていくかなどを半年間かけて調べて決めていきます。

西川 7月にある学年行事の「富浦海浜生活」は伝統的な行事ですね。

水上 富浦海浜生活は、1年生が千葉県南房総の富浦で遠泳を行うものです。遠泳のサポーターとして、高校生から70代の方まで、さまざまな年代の先輩が来てくれます。2年生になると「黒姫高原生活」があります。

西川 1月に行われる「委員長陣所信表明」とはどんなものですか。

水上 委員長陣とは生徒会長・副会長に当たるものです。選挙が終わった後に生徒会長が、これから何をやっていくのか所信表明します。それが2年生の自治活動のデビューになります。本校は6年一貫の学校とは違い、中3が最高学年です。2年生の後半からは学校を動かす立場になり、生徒会団体の責任者や行事の実行委員もやります。場数を踏むといいましょうか、人前に立って話すこともあれば、友だちと意見が異なるなか、譲り合ったりして行事を進めていくこともあるでしょう。そんな経験が子どもたちを驚くほど成長させます。

西川 リーダーシップを育てる非常に良い場になりますね。3月の「ファイナルコース」というのはどういう行事ですか。

水上 ファイナルコースは3年生のまとめの場です。中学3年間を振り返って友だちに感謝の気持ちを述べたり、校長の話を聞いたりします。校長はこのとき、ふだんとは違って研究者としての話をするので、少しずつ将来について意識させる機会にもなっています。

神田 校長先生から研究の話を聞けるのは貴校ならではですね。水上先生は医学博士としてストレスマネジメントから健康支援、健康寿命まで幅広く研究されていますから、生徒たちはいろいろなお話が聞けますね。

水上 もちろん、本校では校長として教育的な立場で全体を見ていきますが、精神科医でもあるので、精神医学の研究や東洋医学の研究もしてきました。専門的なところで生徒たちの興味が広がる話ができればと思っています。

23年5月号 さぴあインタビュー/全国版:
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