受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

きめ細かな教育体制の下
仲間と体験する学びと感動が
未来に向かう力につながる

攻玉社中学校・高等学校 校長 藤田 陽一 先生

感動と達成感あふれる宿泊行事
制限がなくなり続々と復活

キャプションあり
上/昼食時には食堂として利用される生徒ホール。今年7月にリニューアルされ、より使いやすくなりました
下/落ち着いた雰囲気の図書室。約4万冊の蔵書があり、自習スペースも整備されています

神田 人間教育を大切にするという点では、学校行事も重要な要素になります。どのような点を重視していますか。

藤田 コロナ禍においては学校行事がほとんどできませんでした。先ほどオリエンテーションの宿泊行事があると言いましたが、今の高1生はそれも経験していません。学校には来ていても、授業だけでは学べないことがたくさんあり、特に宿泊行事は重要です。わたしも卒業生ですから、生徒として体験してきて、その良さは十分に承知しています。たとえば、中2の臨海学校は戦前から続けているものです。それが2011年の東日本大震災以来中止になり、再開しようとしていた矢先に新型コロナウイルス感染症の流行が始まりました。このため、今の中3生は宿泊行事が何もできていないので、今年は中3の希望者を2泊3日で海に連れていくことにしています。来年度からは中2の臨海学校を復活させる予定です。臨海学校では遠泳をしますが、この経験がとても大きいのです。

福泉 どれくらい泳ぐのですか。

藤田 静岡県沼津市の戸田を訪れ、周りを漁船で囲んでもらって隊列を組んで、1.5km泳ぎます。タイムレースではなく、みんなのペースに合わせなくてはならないのが難しいところです。「間が空き過ぎだぞ」「横を見ろ」などと声を掛けられながら泳ぎます。十数年ぶりに復活するので、わたしも下見に行って、あいさつをしてきましたが、漁協の方々がとても喜んでくださいました。

福泉 泳げない生徒はどうするのですか。

藤田 浜に上がってくるところで、泳げない生徒たちが泳ぎ終わった生徒を迎えます。泳げなくてもそういう形で携わることができます。遠泳はわたしも体験しましたが、終わった後はとても感動し、達成感や充実感が持てました。だから、今の生徒たちにも体験させてあげたいと思っていました。来年度は中2の臨海学校のほかにも、中1の林間学校、中3のスキー学校を実施する予定です。

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神田 5月には耐久歩行大会がありますが、これはどのくらい歩くのですか。

藤田 中学生が16km、高校生が20km歩きます。最初のころは多摩川の河川敷を歩きましたが、河川敷の野球場で遊んだり、道をそれてタクシーに乗ったりする生徒もいました(笑)。そのうちにだんだんと真面目にやるようになって、もう何も心配することはないなと思っていたころに東日本大震災が起きました。それで、津波が遡上する多摩川は危ないということになって、横浜市の「こどもの国」を使わせていただくようになりました。

福泉 修学旅行には高1で行くのですね。

藤田 高1の11月に奈良・京都に行きます。ただ今年の高1生は、新型コロナの影響で宿泊行事を経験していないので、この修学旅行が初めてになります。本来のコースでは、京都に行く前に伊勢に立ち寄り、兄弟校の鳥羽の商船学校と交流します。でも、今年は団体での移動の経験がない生徒たちなので、鳥羽行きはやめて直接京都に行くことにしました。できるだけ負担を少なくして、叱られる回数も少なくしました(笑)。叱られてばかりだと、せっかくの旅行もつまらなくなりますから。

23年10月号 さぴあインタビュー/全国版:
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