受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

自主性を育む自由な校風
部活動や行事にも全力投球し
将来を切り開く力を育む

東大寺学園中・高等学校 校長 本郷 泰弘 先生

卒業生が進路講演会などで
在校生の進路選択を応援


グラウンドは二つあり、一つは全天候型人工芝で、テニスコートやハンドボールコートがあります

石原 次に、進路について伺います。昨年の学校説明会では、学年で真ん中ぐらいの成績なら、国公立大学に進学できるというお話を伺いました。

本郷 生徒たちには、中間テストや期末テストで、なんとか平均点ぐらいは取れるようにがんばろうと言っています。本校では、生徒の8割ぐらいが理系志望ですが、学校内偏差値が50以上であれば、8割以上が、京都大学の工学部に現役で合格しています。それは、京大の工学部を受けなさいという意味ではなく、このデータを目安に、学校生活を楽しみながらがんばれば、国公立大学には十分に対応できると伝えるためなのです。大学入試自体はゴールではなく、大学や大学院で何がしたいのかを見つけていくというのも、中高生活では大切なことなのですから。

 クラブ活動などを通じ、生徒たちは、楽しい学校生活を5年間過ごした先輩たちが、最後の1年間がんばって、第一志望の大学に合格する姿を見ています。それが本校の伝統です。特に今春は国公立大学の合格実績がとても良かったのですが、実は、どちらかというと、あまり勉強していない印象の強い学年でした。そんな学年の生徒たちがすばらしい結果を残したのは、思い切り楽しんだ彼らには、残りの時間を使ってなんとかしてやるという“馬力”がだいぶ残っていたということもあるでしょう。また、切り替えがうまくいったということもあるでしょう。また、前年は大学入学共通テストがかなり難化したので、今年は、全国的にはより確実に合格できそうな大学に志望校を変更した受験生が多かったようですが、そんななかでも、本校の生徒は志望校を変更せず、従来からある、強気の出願をして好結果を残したということもありました。

立見 生徒の進路選択に役立つよう、卒業生に協力を仰ぐこともあるのですか。

本郷 卒業してかなり年数がたち、すでに各界で活躍している方々については、進路講演会というかたちで講演に来てもらっています。本校は医学部志望者も多いので、現役の医師に来てもらうことは多いです。

 また、OBには、東大の中須賀真一さんのような日本のロケット開発の第一人者もいて、今あるロケット同好会ができたのは、実は本校で講演してもらったのがきっかけなのです。まれな例かもしれませんが、こういう同好会から将来の進路に結びつくこともあり、実際、東大でロケットを研究しているロケット同好会出身の卒業生もいます。また、OBたちがよくクラブ活動や文化祭準備の手伝いなどに来てくれます。そういう機会に大学での経験を語ってくれたりもするのです。

 ホームルームの時間に比較的若いOBを呼んで、「高3の夏休みはどう過ごしていたか」「進路はどうやって決めたか」というような話もしてもらいます。中学時代は成績が悪かったけれど、なんとかなるという話をしてくれるOBもいて、それはそれで生徒にとっては心強いのです。こんなふうに、卒業生が後輩のために役立ちたいと思ってくれているのは、やっぱり母校愛が強いからだと思います。

集合写真

立見 貴校の校風がよくわかりました。それでは最後に、受験生と保護者の方にメッセージをお願いします。

本郷 本校の入試では、受験生の考える力を問いたいと思っています。そのため、難しい問題もあるかもしれませんが、過去問を見てみれば、本校の教員が何を考えてその問題を作ったかが見えてくるはずです。受験勉強は、時には苦しいこともあるでしょうが、それは将来にわたって生きる力につながるのですから、けっして無駄ではありません。希望を実現するためにも、精いっぱいがんばってほしいと思います。

立見・石原 本日は、貴重なお話をありがとうございました。

23年11月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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