受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

見て、触れて、考える
体験重視の幅広い学びを通して
豊かな人間性と高い倫理観を養う

東邦大学付属東邦中学校・高等学校 校長 松本 琢司 先生

リベラルアーツ型教育を実践
幅広い裾野が高い専門性を支える

先生写真
校長 松本 琢司 先生

神田 建学の理念は大学と共通の「自然・生命・人間」の尊重ですね。これについてご説明いただけますか。

松本 建学の理念は、晉先生の著書『自然・生命・人間』に由来しています。近年のような地球規模の環境問題が課題とされる状況のなかでは、その重要性はさらに増していると思います。晉先生は「われわれは全宇宙を支配する無形の偉大な力に黙とうを捧げて人間の心の向上を誓おう」ということばを残しています。これはそのまま教育信条になっています。人間を超えた大きな存在を意識すると、われわれは人間の小ささがわかり、謙虚になれます。そして謙虚であるが故に向上心も生まれます。このような話を新入生たちにもしています。この建学の理念の下に学校法人全体で、豊かな人間性と高い倫理観を持って社会貢献する人材の育成を使命として、教育を行っています。

 そのために、文系教科、理系教科とも幅広く学ぶリベラルアーツ型のカリキュラムを採用しています。最終的には大学入試に向かって学びを深めていきますが、その土台として幅広い裾野があれば将来、高い専門性を支えることができます。

神田 さまざまな分野の学びがつながって、専門性を高めていくことができるというわけですね。そこで思い出すのが、貴校の卒業生で宇宙飛行士の金井宣茂さんです。ご自身は外科医で、海上自衛隊の医官として潜水医学を専門とされていた方ですが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙飛行士となって、2017年に宇宙へ行かれましたね。

松本 本人が話をしていたそうですが、アメリカに短期留学した際に、アメリカ航空宇宙局(NASA)で、宇宙飛行士になった人の経歴が書かれたものを見て、医師がたくさん宇宙飛行士になっているのを知り、それまで漠然とあった宇宙への関心が高まり、宇宙飛行士をめざそうと決意したということでした。打ち上げとISS滞在の際は本校でも中継イベントを実施しました。実は、彼が在学中は、わたしも教えたことがあります。知的で穏やかな印象で、おとなしいけれど芯のある生徒でした。ものすごく本を読んでいたことも覚えています。冷静沈着で、知性と教養にあふれ、それでいておもしろい冗談を言うこともある。文学的素養もあるなと思って見ていました。

神田 たくさんの医師が宇宙に行っていることに強い刺激を受けて自分もめざしたのですね。幅広い教養と強い向上心をお持ちの方なのですね。

24年1月号 さぴあインタビュー/全国版:
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