受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

見て、触れて、考える
体験重視の幅広い学びを通して
豊かな人間性と高い倫理観を養う

東邦大学付属東邦中学校・高等学校 校長 松本 琢司 先生

例年7割が理系、3割が文系
進路指導の方針は「自分探し」

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西川 進路指導はどのような方針で行っていますか。

松本 わたしたちは「自分探し」というキーワードをよく使います。生徒一人ひとりが、希望する進路の実現をめざすための、あくまでも「自分探し」をサポートするのが進路指導の基本です。東大合格者数を伸ばすといった、特定の大学への進学実績を目標にするようなことは一切していません。

神田 生徒の7割が理系、3割が文系の大学を志望していると聞いています。女子も理系が多くて7割が志望しているそうですね。

松本 はい。本校の男女比は3対2で、理系志望者はやはり男子が目立ちますが、文系クラスは女子が多いかというとそんなことはなく、男女1対1か男子が少し多いくらいです。ただ、やはり医学部を希望する生徒が多いので、学校自体が医学部進学コースのような面はあります。成績上位者のほとんどが医学部をめざしていて、中学受験時から医師をめざす生徒も一定数います。東邦大学の医学部には15名の推薦枠があり、中学受験者のなかにはこれを理由に本校を志望する人も少なくないようです。

神田 2023年度の実績を拝見すると、国公立大学への合格者が浪人を含め85名。現役に絞っても58名で、すばらしい実績です。医学部医学科だけを見ると、国公立大学には13名、私立大学には65名が合格しています。

松本 医学部進学者が多いからといって、試験の点数のことだけを考えている“ガリ勉タイプ”の生徒はほとんどいません。どちらかというと非常にバランスの取れた、将来は良い臨床医になるだろうなというタイプの生徒が医師をめざしています。

 豊かな人間性、高い倫理感を持つことはとても大切です。わたしはそれを「広い学び」という言い方に置き換えていますが、さまざまなことに一生懸命に取り組むなかで、バランスの良い心と体が育つのではないかと思います。

 これから高度情報化社会はさらに進んでいくでしょう。コロナ禍に象徴されるように、先行き不透明な時代に必要なのは総合的な人間力です。たとえばAIの活用ですが、夏休みの課題などは、AIを使えば、ささっと済ませることができるでしょう。でも、本当に上手にAIを使いこなすには、導き出された答えをうのみにするのではなく、その内容を精査して、もう一度投げ返し、より良い解決策を導いていかなくてはなりません。そのためには課題を見つける力が必要ですし、文理を融合した幅広い知識や教養も欠かせません。論理的な思考力が必要な一方、想像力も求められるでしょう。生徒たちにはそんな話をよくしています。

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神田 時代がどう変わろうとも必要な力であり、それが豊かな人間性を育てることにもつながっていくと思います。では最後に、受験生と保護者の方にメッセージをお願いします。

松本 受験が終わったら消えてしまうような断片的な知識の詰め込みではなく、応用の利く汎用性のある知識を身につけてほしいですね。それには何事にも興味を持って取り組むことがいちばん。おもしろければ詰め込みでは終わらないはずです。本校の授業でも生徒の興味を喚起できるよう努めていますが、受験勉強でもその点は忘れないでいただきたいと思います。

 それから、入試で良い結果が出なかったとしても、がんばった事実はけっして消えません。大事なのは学んだプロセスです。保護者の方は「いろいろなものが身についてよかった」ということがお子さんにわかるよう、結果に対するフォローをきちんとしていただきたいと思います。進学した中学が行きたかった中学なのだと考えられるよう、背中を押してあげてください。できることならそれが本校になって、一緒に広く学んでいけるとうれしく思います。本校には広いキャンパスと充実した施設がそろっており、都心の学校にはない魅力がたくさんあります。ぜひ見学に来てください。

神田 医学部進学実績を伸ばしている学校は近年、志望者が増えています。まして貴校は伝統的な強みがありますし、充実した施設・設備、そして何より大学のバックボーンがあります。東京だけでなく、埼玉や神奈川から通う生徒がいることも納得がいきます。本日はありがとうございました。

24年1月号 さぴあインタビュー/全国版:
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