受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

世界での活躍を見据えた
多様な体験を通して
高い目標に向かう力を養う

巣鴨中学校・高等学校 校長 堀内 不二夫 先生

「ダブル・ヒーリックス」に
他校からも優秀な生徒たちが集結

キャプションあり
上/スカイテラスを備えたカフェテリア。利用は高校生のみですが、中学生向けに日替わり弁当などを販売しています
下/図書館の蔵書数は約2万2000冊。1階と2階に約130の閲覧席を完備し、多くの生徒が自習で利用しています

神田 このほか、わたしが注目したのは、世界の一流の講師によるオリジナル授業をオンライン(冬)や対面(夏)で行う「ダブル・ヒーリックス(Double Helix=二重らせん)」というプログラムです。講師はイギリスの名門校の教員、医療従事者、世界的に活躍する研究者など。それぞれの専門分野における深い知見に基づいて、さまざまな角度から問題提起をしたり、アドバイスをしたりして、生徒たちに「考えるヒント」を与えてくれるそうですね。

堀内 このプログラムでは、講師の方は倫理とチームワークについてよく話してくださいます。「こんな国がこうしたことで困っている」といったグローバルな話もしてくれます。専門的な知識については大学で学ぶわけですから、中学・高校では、世界の現状を知って、視野を広げておくことが大切です。

神田 このダブル・ヒーリックスは他校の生徒にも開かれていて、2023年も8校から参加者が集まっています。他校と一緒に行うところがいいですね。先ほどおっしゃった「朋」をつくる機会にもなります。

堀内 そのとおりです。その意味でも、こうしたフレームワークは1校で独占すべきではないと考えているのです。このほか、本校では、2023年8月に東京医科大学と高大連携協定を結び、12月には同大学の講義に本校の生徒も出席させてもらいました。東京医科大学には主任教授を務めているOBがいますが、今回は若手のOBたちが大学内を案内してくれました。また、参加人数を限定して、練習用の機材を使った手術の疑似体験なども予定しています。

西川 学校行事では、深夜から早朝にかけて、全校生徒が東京都奥多摩町から大菩薩峠を越え、山梨県甲州市までを踏破する「大菩薩峠越え強歩大会」、千葉県館山市で行われる古式泳法による「巣園流水泳学校」、1月中旬に開催される剣道と柔道の「早朝寒稽古」など、心身を鍛える伝統行事がいくつもありますね。

堀内 意外に思われるかもしれませんが、合唱コンクールにも力を入れています。6月に予選があり、9月の巣園祭(文化祭)で本選を行っています。男子の合唱ですから最初はなかなかうまくいきませんでしたが、練習を積み重ねていくことで、本選当日は、保護者の方たちが感動して涙を流すくらいのレベルになります。こうした行事については、その一部は新型コロナの影響で中止・縮小を余儀なくされましたが、徐々に再開できるものと思っています。

神田 茶道教室も男子校としてはユニークですね。茶道の心得があると、国際社会に出たときにも役に立つはずです。

堀内 茶道でも華道でもいいのですが、日本文化で「自分はこれに触れたことがある」というものを一つでも持たせて送り出したいと思っています。知識だけなら動画を見れば手に入りますが、茶わんの手触りや重さは体験しないとわかりません。校舎を建て替えるときに立派な茶室をつくったので、高1生に体験させています。茶道部もあり、海外から来た先生方を部員たちがおもてなしするのですが、とても喜んでくださいます。

24年2月号 さぴあインタビュー/全国版:
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