受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

他者との触れ合いを大切に
「いかに生きるか」を問う
豊かな心を育む教育を行う

立教女学院中学校・高等学校 校長 浅香 美音子 先生

創立から147年、現在の地で100年
大切に守られてきた建学の精神

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

神田 初めに、立教女学院の沿革についてご紹介いただきたいと思います。

浅香 本校は1877(明治10)年、アメリカ聖公会の宣教師、ウィリアムズ主教によって創設されました。現在の文京区湯島にあった宣教師の私邸に、6人の生徒を集めて教育を行ったのが始まりといわれています。その2年後、現在の中央区築地に校舎を建て、本格的に学校としてスタートしました。

 当時の日本は、女子に教育は必要ないといわれていた時代です。しかし、人間はみんな平等であり、男性も女性も差はないというのがキリスト教の考え方です。ウィリアムズ主教は最初に男子の立教学院を創設していますが、女子にも教育が必要だと考えて、その3年後に本校をつくりました。それから150年近くがたちますが、高い知識を得るとともに、キリスト教に基づく豊かな人間性を育むという教育目的を変わらず受け継ぎ、現在に至っています。

 築地から現在の地に移ったのは、1923(大正12)年9月の関東大震災で校舎が焼失したからです。このときは閉校も考えたそうですが、当時の副校長のミス・ヘイウッドが、アメリカで資金を集めて土地を買い求め、翌年の1924年にここ久我山に移りました。ですから、今年でちょうど100年になります。1930年に高校の校舎と講堂が建てられ、その2年後に聖マーガレット礼拝堂も完成しました。この三つが1930年代にできた最も古い建物で、本校ではこれらを建学の精神とともに大切にしています。

神田 趣のあるすてきな校舎ですね。敷地内は緑も豊かで、本当にすばらしい環境です。

浅香 ミス・ヘイウッドは敷地内の植栽も整備しました。今は大木になったクスノキも、冬はわら囲いをするなど手を掛けて育ててきました。ヒマラヤスギが何本かありますが、これも卒業生から苗をもらって大切に育てたものです。それからフジ棚にはいろいろな種類のフジが植えられていて、春はとてもよい香りがします。

神田 先生も立教女学院の卒業生でしたね。学校案内のごあいさつに「生徒たちは、神様はいつも私たちとともにいらして、私たちを見守ってくださるという確かな安心感に包まれて、今日も自由に、生き生きと学校生活を送っています」と書かれていますね。

浅香 先日も、小学校でこんな話をしました。「神様はいつも少し離れたところから、大丈夫かなって見ていてくださるから安心していいのよ。もし歩くのに疲れたら、ここで休んでいきなさいと声を掛けてくださるからね。そんなときは、わたしも心の重い荷物を下ろして休みます。立教女学院で育ったから、そういう思いを持てたのですよ」と。

神田 世界には心に重荷を背負って、生きるつらさを感じている人がたくさんいると思いますが、そうした考えに触れて救いになってくれればと願わずにはいられませんね。

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24年3月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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