受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

他者との触れ合いを大切に
「いかに生きるか」を問う
豊かな心を育む教育を行う

立教女学院中学校・高等学校 校長 浅香 美音子 先生

視野を広げ主体的な力を育む
「土曜集会プログラム」

安酸 ボランティア活動も盛んですね。100年以上の歴史があると聞いています。

聞き手1
サピックス小学部
教務本部
安酸 誠司

浅香 中学生は土曜日に有志のグループが特別養護老人ホームなどに行きます。とはいえ、中学生なので、実際は大して役には立ちません。行って、施設の方たちと心を通わせることで、こちらが学ばせていただいているというところです。夏休みは希望者を募り、2泊3日で群馬県榛名町にある老人ホームに行きます。新型コロナの影響もあり、2023年は4年ぶりの訪問でした。いつもなら参加した生徒たちは「来年はこうしよう」などと思いながら帰ってきて、それを次の年の訪問に生かすのですが、それができませんでした。4年間のブランクから中学生は全学年が入れ替わってしまい、先輩からの情報も入らなかったこともあって、参加者を集めるのに苦労しました。

 それでも施設の方々はとても喜んでくださいました。中学生ですから気の利いた話題を振れるわけではなく、ほとんどがお話を聞いてくるだけなのですが、生徒たちは満面の笑みを浮かべて「楽しかった」「来年も行こうね」などと言っていました。「学ばせてもらっている」「行った後にとても優しい気持ちになる」というのは生徒たち自身の感想です。

キャプションあり
上/12月にはクリスマスツリーに変身する、中庭のヒマラヤスギ
下/総合体育館には、大小のアリーナ、多目的フロア、プールのほか、特別音楽教室も備わっています

安酸 「土曜集会プログラム」もキリスト教教育の柱の一つですが、これは講演会が中心なのでしょうか。

浅香 土曜集会プログラムは、生徒が社会に目を向け、広い視野を持ち、主体的に生きる力を育むためのものです。さまざまな分野で活躍する方をお招きして講演していただくほか、音楽鑑賞や映画鑑賞も行います。

安酸 2022年度に行われたプログラムを拝見すると、「難民問題から考える私たちの未来」「アジアの草の根の人々と共に生きる」「数学って何だろう」など多彩なテーマで講演会が開かれていました。「諸宗教を学ぶ」では、仏教の寺院やモスクなどを訪ねる機会もあるそうですね。

浅香 その年は、中1はカトリック麴町教会(聖イグナチオ教会)、中2は都内にあるイスラム教のモスク、中3は臨済宗のお寺に行って、礼拝や座禅を体験しました。2001年のアメリカ同時多発テロ事件があって以来、イスラム教について間違った見方をする人もいますが、「いわれていることに惑わされてはいけない、きちんと知ることから始めよう」ということでモスクに行きました。聖イグナチオ教会はカトリックですから、聖公会とは違う雰囲気が味わえて新鮮だったと思います。

神田 やはり知ることは大事ですね。異なる歴史や文化を背景に持つ人たちを受け入れられるようになるには、こうした学びが必要だと思います。

24年3月号 さぴあインタビュー/全国版:
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