受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

他者との触れ合いを大切に
「いかに生きるか」を問う
豊かな心を育む教育を行う

立教女学院中学校・高等学校 校長 浅香 美音子 先生

教科の枠を超えた「ARE学習」
その成果は高3の卒業論文に

安酸 「キャンプカリキュラム」というものがありますが、これもキリスト教教育の一つでしょうか。

キャプションあり
上/中高図書館の蔵書数は約7万5000冊。自習スペースも充実しています
下/高校校舎の中央に位置するヘイウッド・ライブラリーには、当時の副校長ミス・ヘイウッドの肖像も

浅香 ゴールデンウィーク明けに中3は長崎・平戸へ、高2は沖縄へ、それぞれ修学旅行がありますが、それ以外の学年は6月末から7月にかけて、学年別に校外学習として実施している修養キャンプに出掛けます。箱根・山中湖・清里に行き、それぞれに決められたテーマの下で活動するのです。その集大成となるのが高3の修養キャンプです。このときのテーマは「生きる」です。中高6年間で学んだことを生かして「自分はどんな生き方をしたいか」という大きなテーマの下で、小グループに分かれて話し合いをします。ファシリテーター(進行役)になった生徒は事前にリーダーシップトレーニングを受けます。みんなの意見を引き出すにはどうしたらよいのかなどを考え、事前に準備します。

安酸 それはとても大きな経験になりますね。ファシリテーターの生徒はもちろん、ほかの生徒も、いろいろな人の考えを聞いて、大きな刺激を受けるのではないでしょうか。

神田 教科で特に力を入れているのは英語で、授業は習熟度別に少人数で行われるそうですね。そして、学力形成でもう一つ特徴的なのが2000年度から行われている「ARE学習」でしょう。総合的な学習の一つだと思いますが、具体的にはどのようなことを学ぶのでしょうか。

浅香 AはAsk、RはResearch、EはExpressの頭文字です。今でいう探究授業のようなもので、疑問に思った事柄に対して自分で調べ、自分で考え、自分のことばで表現していくことが目標です。高3のARE学習では卒業論文を書きますから、中学生の間はその準備となります。卒業論文は基本的には希望制ですが、立教大学に推薦入学を希望する場合は、提出することが条件の一つになっているので、必ず書かなくてはなりません。

 卒業論文を導入してから20年がたったので、今回、その振り返りをしました。これまでは何も考えず素通りしていたような事柄でも、あらためて「なぜだろう」と考えてみて、その答えを自分なりに調べ、自分なりに考え、まとめたものを文章にしていくことには意味があると、生徒たちが知る機会になっていると実感できました。

24年3月号 さぴあインタビュー/全国版:
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